コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

細胞膜 さいぼうまくcell membrane

翻訳|cell membrane

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

細胞膜
さいぼうまく
cell membrane

形質膜あるいは形質膜 plasma membraneともいう。細胞表面を囲む薄い膜で,厚さは8~10nm (80~100Å) 。電子顕微鏡では暗・明・暗の3層構造として認められ,これに基づいて J.ロバートソンは,脂質の2分子層が中央にあって表裏両面を蛋白質がおおうという,いわゆる単位膜 unit membraneモデルを提唱し (1960) ,また細胞内の他の構造体の膜とも本質的に共通であるとした。しかしその後の研究から,単位膜モデルはおおまかな近似としては通用するが,実際の細胞膜の分子構築はさらに複雑かつある程度流動的であること,またそれぞれの膜には固有の蛋白質成分と機能があることがわかってきた。細胞膜はイオンや有機物分子に対して選択的透過性を有し,神経などの興奮性細胞では,興奮の際にその透過性がすみやかに一過性に変化する。特定のイオンや有機物分子に対しては,能動的に (細胞内のエネルギーを消費しつつ濃度勾配に逆らって) 分子を吸収,排出する分子機構が,細胞膜内に存在する。細胞膜の外側表面にはホルモン,薬物などに対する特異的受容体 receptorが存在し,また細胞間の相互認知のための免疫学的特性を有する多糖類が結合しているなど,多彩な役割を有している。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について | 情報

百科事典マイペディアの解説

細胞膜【さいぼうまく】

原形質膜,形質膜ともいい,原形質の外側の界面膜。動物細胞では最外層であり,植物,細菌細胞ではこの外側に細胞壁がある。厚さは普通8〜10nm。電子顕微鏡では3層構造に見えるが,実際には,2層のリン脂質が背中合せに並び,各種のタンパク質がモザイク的に組み込まれた構造をもつと考えられる。
→関連項目原形質分離細胞質

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて | 情報

栄養・生化学辞典の解説

細胞膜

 原形質膜ともいう.細胞と細胞外とを仕切る膜,すなわち細胞全体を包む膜.脂質の二重層でできており,その構造は,S. J. SingerとG. L. Nicolsonによって提唱された流動モザイクモデルによって基本的に説明されている.

出典|朝倉書店栄養・生化学辞典について | 情報

世界大百科事典 第2版の解説

さいぼうまく【細胞膜 cell membrane】

原形質膜または形質膜plasma membraneともいう。細胞の生きている原形質の最も外側に形づくられた厚さ8~10nmの境界膜である。原形質の物質環境を保つため外部環境に対して物質の出入を調節する境界膜が想定されながら,電子顕微鏡の技法が細胞構造の観察に適用されるまでは細胞膜の存在は確かめられなかった。ロバートソンJ.D.Robertson(1960)は,電子顕微鏡像から細胞膜を含む細胞の膜構造はみな3層からなる単位膜unit membraneであるとする説を唱え,以後単位膜の用語が広く用いられた。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

大辞林 第三版の解説

さいぼうまく【細胞膜】

細胞質の最外層にあって細胞の形態を決めるきわめて薄い膜。主に脂質とタンパク質から成り、選択的透過や代謝物質の輸送、電気的興奮性、免疫特性の発現などの機能をもつ。原形質膜。 → 生体膜単位膜

出典|三省堂大辞林 第三版について | 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

細胞膜
さいぼうまく

細胞の最外層を取り囲む膜で、形質膜、原形質膜ともいう。この膜は、1960年のロバートソンJ. D. Robertsonの説以来3層とされるが、その分子構造は、72年にシンガーS. J. SingerとニコルソンG. L. Nicolsonが発表した「流動モザイク説」では次のように説明されている。膜はリン脂質の2分子層からなっているが、その中にタンパク粒子がモザイク状に存在する。タンパク粒子には内在性と表在性の2種類がある。内在性タンパク粒子は、液晶構造をもつリン脂質の2分子層の中を自由に流れ動くことができる。表在性タンパク粒子は、膜の細胞質側の表面に存在して、内在性タンパク粒子の分布を調節している。能動輸送に関係する酵素タンパクや、ホルモンの刺激により活性化される酵素タンパクは内在性タンパク粒子に含まれている。
 細胞の表面、すなわち細胞膜の外側は、細胞に特有な糖衣(多糖類)で包まれ、細胞どうしの認識や結合に役だっている。また、糖衣の負荷電は多量の陽イオンを細胞表面に引き付ける。細胞表面の多糖類は細胞表面抗原をもち、細胞性免疫(体液性抗体によらず、胸腺(きょうせん)由来のT細胞による細胞性免疫をいう)に大きな役割を果たしている。[小林靖夫]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

細胞膜の関連キーワードエレクトロポレーションフリーズフラクチャー法サヤミドロ(鞘水泥)カリウムチャンネルエンドサイトーシスイオンチャンネルペプチドホルモンヒアルロニダーゼジストログリカンフィトステロールプロトプラストホルモン受容体ガングリオシド膜貫通受容体グラム陽性菌グラム陰性菌脂質二重層カドヘリン被覆小胞静止電位

今日のキーワード

分水嶺

1 分水界になっている山稜(さんりょう)。分水山脈。2 《1が、雨水が異なる水系に分かれる場所であることから》物事の方向性が決まる分かれ目のたとえ。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

細胞膜の関連情報