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慢性膵炎 まんせいすいえん chronic pancreatitis

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

慢性膵炎
まんせいすいえん
chronic pancreatitis

膵臓組織に線維化を主体とした病変が生じ,膵臓機能が阻害されて,原因を除去してもすでに不可逆的か,進行性の疾患。 30~60歳代の男性に多くみられ,原因としてはアルコール,胆石症,原因不明のもの (特発性) がある。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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家庭医学館の解説

まんせいすいえん【慢性膵炎 Chronic Pancreatitis】

[どんな病気か]
 慢性膵炎とは、膵臓(すいぞう)での慢性の炎症がくり返し持続されることによって、膵臓が破壊され、その後に線維化(せんいか)がおこるなど、元にもどらない(非可逆性(ひかぎゃくせい)の)変化をきたし、膵臓の機能が低下した状態をいいます。
 持続または反復する腹痛や背部痛(はいぶつう)(背中の痛み)が最初の症状で、やがて進行すると、膵臓の外分泌作用(がいぶんぴつさよう)(消化酵素液(しょうかこうそえき)の分泌)の機能不全として、消化不良による脂肪便(しぼうべん)がみられたり、内分泌作用(インスリンなどのホルモンの分泌)の機能低下によって糖尿病になったりします。
[原因]
 日本における慢性膵炎の原因としては、アルコール性のものがもっとも多く、男性では70%であり、女性を合わせても過半数を占めます。
 原因が不明の特発性膵炎、胆石性膵炎と合わせて、この3つの原因が9割以上を占めます。
[検査と診断]
 慢性膵炎は、膵石(すいせき)が腹部単純X線撮影やCTスキャン、超音波などで証明されれば、確実に診断できます。
 また、膵臓の外分泌検査(セクレチン試験)により、膵液の重炭酸濃度の低下、液量、酵素(こうそ)の低下など、膵外分泌機能の低下が証明されれば確実となります。
 そのほか、便中のキモトリプシンという酵素の測定や、PFDと呼ばれる消化吸収した物質の尿への排泄能(はいせつのう)の検査などにより、膵臓の外分泌機能をみて、診断の参考にします。脂肪の消化吸収不良によって脂肪便が現われるのは、慢性膵炎のかなり進んだ時期です。
 ERCP(内視鏡的膵胆管造影法(ないしきょうてきすいたんかんぞうえいほう))検査では、内視鏡を十二指腸(じゅうにしちょう)へ進め、そこから膵管の造影を行ないます。慢性膵炎では、膵管(消化液である膵液の通過する道)に特徴的な変化がとらえられます。
 最近では、MRCPと呼ばれる、MRI(磁気共鳴画像装置)を利用した膵胆管像検査が、侵襲(しんしゅう)が少ない(からだに負担の少ない)ために、ERCPに先立って行なわれることが多くなっています。
[治療]
 膵臓の痛みがあり、炎症をともなう時期には、急性膵炎(「急性膵炎」)に準じた治療を行ないます。
 炎症のないときには、鎮痛薬などによる疼痛治療(とうつうちりょう)を行ないますが、内臓神経ブロックが効果を現わすこともあります。
 痛みのない時期には、機能障害を補うために、かなり大量の消化酵素を内服したり、あるいは脂溶性(しようせい)ビタミンの不足に対して、総合ビタミン剤を服用したりします。
 糖尿病の重い人では、インスリン治療も必要となることがあります。
[日常生活の注意]
 慢性膵炎の食事性の因子として、高たんぱく、高脂肪、低脂肪、低たんぱく、低栄養などが危険因子とされているため、バランスのとれた食事をとることがたいせつです。
 とくに病気が進行して消化不良状態となっているときには、脂肪の摂取を少なくしないと、下痢(げり)をおこします。
 アルコール性膵炎では、禁酒することが重要であることはいうまでもありません。
 慢性膵炎の予防には、飲酒をコントロールし、適量にすることがもっとも重要です。

出典|小学館
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

慢性膵炎
まんせいすいえん
chronic pancreatitis

慢性の進行性の膵(膵臓)の炎症で、頑固な腹痛や背部痛などの症状を伴い、かつ治療がむずかしい特定疾患(難病)である。臨床的には、(1)膵炎発作を繰り返すが膵機能が保たれている代償期、(2)膵実質の脱落と線維化が進展し腹痛発作は軽度であるが膵機能の低下による症状を主徴とする非代償期、に分けられる。男女比は4対1で男性に多い。原因はアルコール多飲が約60%を占め、次に胆石による膵炎と特発性膵炎である。特発性膵炎のなかには自己免疫性疾患に合併し自己免疫的機序が発症に関与するものが含まれる。[中山和道]

症状と診断

症状としては急性膵炎発作を数か月ごとに繰り返し膵機能不全に陥る型と、腹痛などの急性膵炎の病歴がなく、初診時から糖尿病、膵石や吸収不良症候群などを示す型がある。非代償期の症状として食欲不振、体重減少、下痢などがみられる。
 診断としては、膵石の存在、膵外分泌機能の低下、膵管の変化が証明されれば診断できる。検査法としては、腹部単純X線検査、超音波検査、CT、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)、磁気共鳴胆管膵管造影(MRCP)を用いる。膵外分泌機能はBT-PABA試験で検査する。[中山和道]

治療

基本は原因の除去、食事療法、疼痛(とうつう)対策、内外分泌機能低下に対する補充である。アルコール性では断酒が大原則である。食事は糖質中心の低脂肪食を摂取し、疼痛に対しては鎮けい薬、中枢性鎮痛薬を投与するが、疼痛が緩和できないときは一時的に禁食し膵分泌刺激を低下させ中心静脈栄養を行う。外分泌低下には大量の消化酵素の経口投与を行う。内分泌機能低下の場合は糖尿病治療に準ずる。外科的治療としては主膵管の拡張が著明で、膵石がある場合には膵管空腸側々吻合(ふんごう)術、巨大膵嚢胞(のうほう)で周囲臓器の圧迫症状があるときには外科的あるいは内視鏡的ドレナージを行う。開口部に近い主膵管内の膵石が膵液の流出障害を起こし腹痛の原因となっている場合は、内視鏡的にバスケットカテーテルでの除去が行われている。[中山和道]

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世界大百科事典内の慢性膵炎の言及

【膵炎】より

…膵臓炎ということもある。1963年,マルセイユにおいて膵炎シンポジウムが開催され,膵炎は,(1)急性膵炎,(2)再発性急性膵炎,(3)慢性再発性膵炎,(4)慢性膵炎に分類するとの統一見解が出された。急性膵炎(上記(1)(2))が膵臓の一過性の急性反応と定義されるのに対し,慢性膵炎((3)(4))は炎症を起こす原因や因子をとり除いても,膵臓の形態的,機能的な障害が不可逆的であったり,あるいは進行するものとみなされている。…

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