改訂新版 世界大百科事典 「フィルザバード」の意味・わかりやすい解説
フィルザバード
Fīrūzābād
イラン南西部,シーラーズの南方約110kmの地に残る,ササン朝(224-651)の円形都市遺跡。直径約2km。町は古くはグールGūrと呼ばれたが,ササン朝初代の王アルダシール1世がアルサケス朝のアルタバヌス5世を破った後に,パルティアの都市プランにならって建設し,〈アルダシール・フルラArdashīr-khurra(アルダシールの栄光)〉と命名。その後10世紀にブワイ朝の支配者が現在の名称に改名した。遺跡内部はほとんど破壊され,現在は耕地となっており,わずかに中央部分に,〈グールのミナレット〉と呼ばれる小割石としっくいで構築した方形建物,タフト・イ・ネシンTakht-i Neshinと呼ばれる切石積みの基壇が残るにすぎない。城外北方にはアルダシール1世の宮殿址が残り,これはササン朝最古のイーワーン・ドーム形建築である。またタング・イ・アブTang-i Abの右岸に,同王の騎馬戦闘図を刻んだ磨崖浮彫(長さ約20m)を見る。
執筆者:田辺 勝美
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