改訂新版 世界大百科事典 「フェストゥス」の意味・わかりやすい解説
フェストゥス
Sextus Pompeius Festus
2世紀後半のローマの文法家。生没年不詳。フェストゥスの名が今に伝わる理由は,彼よりおよそ200年前のアウグストゥス帝の時代に活躍した著名な文法家で,帝の孫たちの家庭教師もつとめたフラックスVerrius Flaccusが著したラテン語辞典《語の意味について》を要約,編纂したことによっている。しかし,彼自身が書き加えた項目はまれにしか見られない。フェストゥスの編纂した《語の意味について》は記載語をアルファベット順に並べてあり,20巻にまとめられていたが,現存するのは第12巻以降のみである。この辞典は,8世紀にディアコヌスPaulus Diaconusがフェストゥス版をさらに8巻に要約しており,古代においてすでに広く利用されていたことを示している。
執筆者:平田 真
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報