フレジュストンネル(その他表記)Tunnel de Fréjus

改訂新版 世界大百科事典 「フレジュストンネル」の意味・わかりやすい解説

フレジュス・トンネル
Tunnel de Fréjus

フランス中部の都市リヨンとイタリア北西部の都市トリノを結ぶ国際道路上にあって,国境アルプス山脈を貫く長大道路トンネル。1974年に着工,80年に完成,延長は道路トンネルとしては世界第3位(1997現在)の1万2901mで,フランス側のモダーヌからイタリア側のバードネッキアに抜けている。このトンネル完成前は,モン・スニ峠(標高2100m)を通る山越え道路で,冬季積雪のため通行不能であった。トンネルの完成により,両国にとって経済の中心地の一つであるフランスのローヌ川流域と,イタリアのポー川流域間が年間を通じて高速自動車交通で結ばれるようになった。

 なお,モン・スニ峠にはこの道路トンネルとほぼ並行して,1857年に着工し,15年をかけて71年に完成した延長1万3657mの複線の鉄道トンネルであるモン・スニ・トンネルTunnel du Mont Cenisがある。同トンネルは,初めての長大トンネル,そしてアルプスの高峰下を初めて掘ったという点で歴史的なトンネルである。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語 吉村

今日のキーワード

106万円の壁

会社員に扶養されるパートら短時間労働者は年収106万円以上になると厚生年金保険料などの負担が生じて手取りが減る。将来の年金額は手厚くなるが、働き控えを招く「壁」とされ、企業の人手不足の要因となる。厚...

106万円の壁の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android