地面に降り積もった雪。単に雪とよぶことが多い。気象庁の地上気象観測法によれば、積雪は周囲の地表面の2分の1以上に雪がある場合をいう。積雪の多少は積雪深で表されることが多い。年間の積雪のあった日数を積雪日数という。日本雪氷学会によれば、積雪は、「新雪」「しまり雪」「ざらめ雪」「霜ざらめ雪」の4種類に分類される。新雪は降ったばかりの雪である。しまり雪は、新雪が時間の経過とともに自重で圧密され、密度が増した雪で、内部では雪粒子がほぼ球形の氷粒子になり、同時に雪粒子間の結合が発達するため、全体として堅い雪に変化している。ざらめ雪は、しまり雪が日射や暖気で融解したあと再凍結したり、これが繰り返されることによって生じる大粒の粒子からなる雪である。霜ざらめ雪は、温度勾配という特別の条件で発達する独特の雪で、積雪の少ない寒冷地で見られる。夜間放射によって冷やされた積雪層には、表面から積雪内部に向かって大きな温度勾配がつくられる。このため積雪層下部の高温部から表面の低温部に向かって水蒸気拡散が生じ、積雪内部の個々の氷粒子下部には霜結晶が成長する。このような内部に霜結晶の生じた積雪は霜ざらめ雪とよばれ、機械的強度はきわめて弱く、雪崩の発生原因になることもある。
日本の雪のように、春になると消え去る雪は季節的積雪である。一方、氷河が発達するような多雪寒冷地の積雪は、夏を超し次の降雪期にまた積雪を加え、雪の密度は時間とともに増加してゆき、最終的に氷となる。雪氷学では、雪と氷の区別を通気性で判断する。すなわち、雪のなかの空隙につながりがあり、通気性のあるものを雪、なくなったものを氷と定義する。雪と氷の境界は、密度で820~840キログラム毎立方メートル(kg/m3)である。
[前野紀一]
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(饒村曜 和歌山気象台長 / 宮澤清治 NHK放送用語委員会専門委員 / 2007年)
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…とくに半乾燥地域では,降水量の変動が直ちに農業や牧畜などに影響を及ぼす。 世界の積雪地域は南極大陸を除くと大部分は北半球にある。氷河や万年雪におおわれる極地方や高山を除くと,北半球の平野部で広い範囲が積雪におおわれるのは10月から5月までである。…
…雲の内部でつくられた氷の結晶が降るもの(降雪),またはそれが積もったもの(積雪)をいう。降る雪は古くから花にたとえられ,雪華,六華(花)ともいわれる。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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