両国(読み)リョウコク

デジタル大辞泉 「両国」の意味・読み・例文・類語

りょう‐こく〔リヤウ‐〕【両国】

《「りょうごく」とも》両方の国。ある物事にかかわる二つの国。「両国首脳
[類語]諸国列国各国万国列強万邦世界内外中外四海しかい八荒はっこう宇内うだい

りょうごく〔リヤウゴク〕【両国】

東京都墨田区南西部、隅田川東岸の地名。かつては両国橋の東西両岸の地域をいい、名は隅田川が武蔵下総しもうさ両国の境をなしたことによる。回向院がある。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「両国」の意味・読み・例文・類語

りょうごくリャウゴク【両国】

  1. ( 両国橋があるところから呼ばれた )
  2. [ 一 ] 両国橋をはさみ、東京都中央区と墨田区にまたがっていた地名。中央区側の旧広小路(現在は東日本橋)は江戸時代火除地となり、芝居小屋飲食店の並ぶ盛り場であった。川開きに催された花火でも有名。
  3. [ 二 ] 東京都墨田区南西端の地名。回向(えこう)院がある。

りょう‐こくリャウ‥【両国】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「りょうごく」とも ) 両方の国。二つの国。二国。
    1. [初出の実例]「大隅日向の両国に軍兵あり」(出典:観智院本三宝絵(984)下)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「両国」の解説

両国
りようごく

江戸時代から続く広域地名で、呼称は隅田川に架かる両国橋(寛文元年竣工)に由来。両国橋架設時に橋の西詰(現中央区)に設けられた火除地はのちに拡張されて広小路となり、両国広小路とよばれて見世物小屋・芝居小屋・茶屋などが立並ぶ江戸有数の歓楽地となった(中央区の→両国広小路両国橋。昭和九年(一九三四)西詰一帯の日本橋区元柳もとやなぎ町・新柳しんやなぎ町・吉川よしかわ町・米沢よねざわ町一―三丁目・薬研堀やげんぼり町・若松わかまつ町・横山よこやま町三丁目などの全域あるいは一部を合せて日本橋区両国となり、同二二年に中央区が成立すると同区日本橋両国となった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「両国」の意味・わかりやすい解説

両国 (りょうごく)

東京都墨田区南西部の地名。もと隅田川(大川)は武蔵・下総両国の境をなし,明暦の大火(1657)後の万治年間(1658-61)に隅田川の最初の橋として架けられた大橋はのち両国橋と呼ばれた。地名はこれに由来し,橋の西詰には火除地として両国広小路が開かれ,北の柳橋に連なる盛り場となった。東詰には明暦の大火の焼死者を葬った回向(えこう)院が建てられた。回向院の境内では勧進相撲が行われ,1909年には国技館が完成,一時浅草蔵前に移ったが,85年再びこの地に戻った。周辺には現在も相撲部屋が多い。夏の風物詩川開きの花火は1962年から中止されていたが78年復活した。国技館に隣接して江戸東京博物館(1993年開館)がある。北隣の横網との間に総武本線両国駅がある。なお,1971年まで両国橋西詰の中央区側にも両国という地名が残っていた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「両国」の意味・わかりやすい解説

両国【りょうごく】

東京都墨田区と中央区を結んで隅田川にかかる両国橋(明暦の大火後の1660年ころ初めて架橋)両岸の地名。名は武蔵・下総(しもうさ)両国を結ぶ意。江戸時代,橋の西詰は両国広小路と呼ばれた盛り場。東詰も回向(えこう)院で相撲興行が行われるなどにぎわい,1909年国技館が設けられた。有名な川開きは1723年に始まる下町の納涼行事で,1962年一時中止されたが,1978年復活。両国の町名は墨田区側に残り,総武本線両国駅がある。なお現在の両国橋は1904年改架,1932年に改修したもので,江戸期よりやや上流に架かる。
→関連項目墨田[区]中央[区]本所

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「両国」の意味・わかりやすい解説

両国
りょうごく

東京都墨田区(すみだく)南西端、隅田川(すみだがわ)左岸の一地区。かつては両国橋の両側をいい、右岸の中央区側にも両国の名があったが、1971年(昭和46)東日本橋と町名変更された。北隣の横網との境に、かつて総武線の玄関口としてにぎわったJRの両国駅があり、横網の南東端、清澄通り沿いには都営地下鉄大江戸線の両国駅がある。両国橋は明暦(めいれき)の大火(1657)後架橋され、左岸の本所(ほんじょ)がかつて下総(しもうさ)国に含まれたため、武蔵(むさし)・下総両国を結んだことが橋名となり、地名はこの橋に由来する。見世物・芝居小屋、茶店などでにぎわった両国広小路は、両国橋の西詰で、現在の中央区東日本橋北部にあたる。墨田区側は東両国、向両国ともよばれた。東詰には、明暦の大火の死者を葬った回向院(えこういん)があり、江戸後期しばしば境内で勧進相撲(かんじんずもう)が行われ、1909年(明治42)国技館が建設された。現在の国技館は1985年(昭和60)、蔵前から両国駅北側に移設されたもの。なお両国は隅田川の花火でも知られ、旧暦5月28日の川開きは見物客と納涼船がひしめき、「玉屋」「鍵(かぎ)屋」の掛け声とともに華やかに夜空を飾った。一時中止されたが、現在の隅田川花火大会は、上流に移って行われている。

[菊池万雄]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「両国」の意味・わかりやすい解説

両国
りょうごく

東京都墨田区南西部の地区。 JR総武線と首都高速7号小松川線の間にある商業地区。隅田川の両国橋で西の中央区へ通じる。地名は江戸時代には武蔵国下総国の両国にまたがっていたことによる。 JR両国駅北側の操車場跡に,1985年,新国技館が建設され,蔵前より移転。 93年には国技館に隣接して江戸東京博物館が開設された。付近に相撲部屋が多い。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android