改訂新版 世界大百科事典 「フローリス5世」の意味・わかりやすい解説
フローリス[5世]
Floris Ⅴ
生没年:1254-96
ホラント伯(1256-96)。1247年にドイツの対抗国王に選ばれたウィレム2世(ウィルヘルム・フォン・ホラント)の子。1272年西フリースラント(現,ホラント州北部)遠征に失敗し,74年ケネメルラント農民の反乱を招いたが,反徒を巧みに慰撫して,以後はむしろ市民,農民層の支持を得た。またユトレヒト司教に反抗するアムステル領主ヘイスブレヒトGijsbrecht,ウルデン領主ヘルマンHermanを抑えて東方に領土を広げ,89年西フリースラントの制圧にも成功。対外的にはイギリス王エドワード1世と提携し,ゼーラント南部の領有をめぐってフランドル伯と争った。しかし96年一転してフランス王フィリップ4世と結んだため,彼をイギリスに拉致する謀略が練られ,ヘイスブレヒトらによりマイデン付近で惨殺された。
執筆者:川口 博
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報