ブヌン族(読み)ブヌンぞく(その他表記)Bunun

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブヌン族」の意味・わかりやすい解説

ブヌン族
ブヌンぞく
Bunun

台湾先住民中の一民族。ブヌンは人間の意味。中部山地に居住し,人口約3万 8000と推定される。 18世紀初め民族集団形成時に山地に大移動した伝承もち,焼畑農業を営み,粟,芋類を栽培していたが,現在は果樹栽培も行う。5つのグループに分れ,それぞれが大,中,小の3段構成の父系氏族組織をもち,外婚規定による氏族間の婚姻関係は複雑である。その交錯した親族組織によって秩序を維持しており,また狩りで得たいのしし,しか,やぎなどの肉の分配などはすべて社会の構成単位と関連している。独特の絵暦はすべて月夜で計算し,闇夜は数えないで,閏年のようなものをもっている。

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世界大百科事典(旧版)内のブヌン族の言及

【姻族】より

…一方儀礼的には,嫁の兄弟は婚家で名誉ある客として,葬式などの通過儀礼,姉妹の子への訓戒,財産分割の立会いなど特別な役割を与えられている。また中部台湾のブヌン族やインドネシアの父系部族では,嫁を与える側が,受け取る集団に対して祝福または呪咀する力がある。つまり霊的優位に立つとされている。…

【宴会】より

…南米ペルーの南東部に住むインディオの村では,毎年,9月に〈御誕生の聖母祭〉が行われるが,教会での厳粛な儀式と並行して仮面踊が催され,祭りの期間中,インディオたちは有り金をはたいて酒と喧嘩に明け暮れ,狂乱と浪費の時を過ごす。台湾の中部山地に住むブヌン族は,ふだん,イモや雑穀を食べてアワの貯蔵につとめているが,アワの祭りを迎えると,彼らはアワ酒をつくり,家豚や野獣の肉を用意して饗宴を競い合う。彼らにとってアワと獣肉は,自家消費のためというよりは,他人に自分たちの生活を誇示するためのシンボルになっている。…

※「ブヌン族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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