日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブルガーター訳聖書」の意味・わかりやすい解説
ブルガーター訳聖書
ぶるがーたーやくせいしょ
Vulgata ラテン語
ブルガーターとはラテン語のVulgata Editioの略で、「一般の、共通の」を意味し、カトリック教会で公式に用いられるラテン語訳聖書をさしている。これはヒエロニムスが382年教皇ダマスス1世Damasus Ⅰ(在位366~384)の要請によって始めた訳業で、それまであった古ラテン訳を改めつつ、旧約の部は大部分自分の新しい訳によってつくりあげ、405年に完成した。このラテン語訳聖書は1546年のトリエント公会議においてローマ・カトリック教会の公認聖書となったのである。なお近年この新約の部の粗略さを批判改訂した校訂版(J. Wordsworth, H. J. White and H. F. D. Sparks : Novum Testamentum Domini Nostri Iesu Christi latine, secundum editionem sancti Hieronymi(1889~1954))が出されている。
[木下順治]