プリトビー・ラージ・ラーソー(読み)ぷりとびーらーじらーそー(その他表記)Prithvīrāj Rāso

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

プリトビー・ラージ・ラーソー
ぷりとびーらーじらーそー
Prithvīrāj Rāso

インドの叙事詩的年代記。『プリトビー王行伝』と訳される。異本が多く、12世紀末の成立と推定され、作者は、プリトビー・ラージ宰相で宮廷詩人のチャンド・バルダーイー生没年不詳)とされる。デリーのヒンドゥー王、チョウハーン人最後の支配者プリトビー・ラージの武勇ロマンス、ヒンドゥー王侯同士の対立、プリトビー・ラージとジャエチャンド争いにつけこんだムスリム勢力、ムハンマッド・ゴーリーの攻撃に敗退していく過程を記述する。かなり史実に即しているとはいえ、伝説と史実が混在している。

[田中敏雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のプリトビー・ラージ・ラーソーの言及

【チャンド】より

…12世紀末には群小のヒンドゥー王侯が,西方からのイスラム教徒の攻撃にさらされ,果敢にそれに抗していたが,なかでもチャンドの仕えるアジュメール国王は勇猛をもって知られていた。チャンドの叙事詩《プリトビーラージ・ラーソー》は,そういう状況を描いている。すなわち,興隆に向かうプリトビーラージをねたんだカナウジ王ジャエチャンドが,イスラム教徒勢力の盟主ムハンマド・ゴーリーと組んでアジュメールを攻め,プリトビーラージ王を捕らえるというのが,物語のあら筋である。…

【プリトビーラージ】より

…当時,彼とならぶラージプート族の有力武将であったカナウジのジャエチャンドJaycand王(ガーハダバーラGāhadavāla朝)は,プリトビーラージの名声をねたみ,また彼にまな娘を奪われたことを恨み,タラーインの戦を傍観した。初期ヒンディー文学の傑作として知られるチャンド・バルダーイーの《プリトビーラージ・ラーソー》は,この王の武勇と,ジャエチャンド王の娘との恋愛をテーマとしたものである。【山崎 元一】。…

※「プリトビー・ラージ・ラーソー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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