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文学作品ばかりでなく,絵画,彫刻,音楽など広い意味での芸術作品を創造行為の所産とみなすとき,その行為の主体としての責任を署名等のかたちで引き受ける者を〈作者〉と呼ぶ。ただし,トルストイを《戦争と平和》の作者とするのと同じ意味で,ホメロスを《オデュッセイア》の作者とみなすことができないように,現在行われている〈作者〉観は,個我の独自性と自由意志の強調された西欧17世紀以降のもので,日本ではその後も,代作者・協力者集団の代表として署名するだけの作者や,座の文芸のような共同制作形式が存続した。文学テキストの構造研究が進むに従い,最近では,生身の人間としての作家と,テキストを組織する潜在的作者を区別し,後者は作中で〈私〉として登場する語り手とも異なるとする見方が有力で,無意識や集団意識,既存テキストとの相関性などが集約される〈作者〉の匿名性が重視されるにいたっている。
執筆者:平岡 篤頼
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…たとえば,《源氏物語》から,《好色一代男》《春色梅児誉美》を通って《大菩薩峠》に至る文体の変化は大きかった。しかも同じ作者の《方丈記》と《無名抄》,《藩翰譜》と《折たく柴の記》,《渋江抽斎》と《雁》でさえも,その文体はまったく異なる。こういう状況のもとで,〈よい散文〉の基準は,中国の場合のように,客観的ではあり得ないだろう。…
…《江戸鹿子》(1687)などの地誌類に諸師諸芸または諸職の一つとして登録されている。《人倫訓蒙図彙》(1690)は能芸部にあげて,俳諧の法式が貞徳,立圃(りゆうほ)に始まることを述べ,〈その流れを汲みて棟梁する者を点者と号す〉というが,《誹諧京羽二重》(1691)では点者,俳諧師,作者を区別している。広義には点者をふくみ,狭義には点者を除く職業俳人をいうか。…
…文芸批評と呼ぶことのできるものは,アリストテレスの《詩学》やホラティウスの《詩論》から今日のいわゆる文芸批評にいたるまで,さまざまのかたちで存在する。その文芸批評が目的とするのは,普通には,文学作品かその作者にかかわりのある諸問題について語ることである。しかも西欧の諸国においては,とくに19世紀以降,文芸批評そのものが文学の中のひとつの分野として確立されるにいたった。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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