プロパブリカ

共同通信ニュース用語解説 「プロパブリカ」の解説

プロパブリカ

非営利の米報道機関として2007年から08年にかけ設立された。100人を超える記者を擁して調査報道を展開し、政府企業による権力乱用や不正行為を明らかにして改革を促すことを目的としている。取材などの活動費は主に寄付によって賄われている。透明性の高い組織運営を掲げ、財務報告などを積極的に行っている。(ニューヨーク共同)

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知恵蔵 「プロパブリカ」の解説

プロパブリカ

米国ニューヨーク・マンハッタンに拠点を置く非営利(NPO)の報道組織。サンドラー財団の設立提案を受けたポール・スタイガー(「ウォールストリート・ジャーナル」の元編集長)が中心となり、2007年10月に発足した。最初の記事発信は08年6月。
プロパブリカは、長期間にわたる独自取材によって行政や企業の不正・腐敗を明らかにする「調査報道」を専門とする。当局の発表や権力サイドの情報に依存しない調査報道は、古くは「ワシントン・ポスト」によるウォーターゲート事件(1972~73年)が代表で、米ジャーナリズムの真髄と言われてきた。
プロパブリカの専属スタッフは三十数名と少数だが、その精神に共感する「ニューヨーク・タイムズ」の元調査報道主任や、ピュリツァー賞受賞者など、諸分野の専門家やベテラン記者が名を連ねる。年間の運営資金は約1千万ドル。その大半は個人および団体の寄付によるもので、サンドラー財団の他、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、フォード財団などからも資金提供を受けている。
記事はウェブ上に無料公開している他、ツイッターやポッドキャストなどのSNSも積極的に活用している。独自の掲載紙は持っていないが、他の新興ネットメディアと違って、既存の新聞社・放送局との提携にも力を入れている。取材連携や記事配信は、「ニューヨーク・タイムズ」「ロサンゼルス・タイムズ」「シカゴ・トリビューン」「CNN」「ABC News」など50団体を超える。
2010年4月には、オンライン・メディアとして初めてピュリツァー賞を受賞し、世界中の注目を浴びた。受賞作は、05年に米南部ニューオーリンズを襲ったハリケーン・カトリーナの被災現場を取材した「メモリアル医療施設での死の選択」。医師資格を持つ記者シェリー・フィンクが、極限の環境下に置かれた被災患者と、その安楽死の選択を迫られた医師・看護師を2年半にわたって取材し、09年に「ニューヨーク・タイムズ・マガジン(ニューヨーク・タイムズ日曜版別冊)」に連載した長文ルポである。取材費の40万ドルのうち半額をプロパブリカが、残りを編集作業にかかわった「ニューヨーク・タイムズ・マガジン」が負担した。なお、ProPublicaは、ラテン語で「公共のために」という意味。

(大迫秀樹  フリー編集者 / 2010年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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