精選版 日本国語大辞典 「寄付」の意味・読み・例文・類語
より‐つき【寄付】
〘名〙
① よりつくこと。そばへ寄ること。
※評判記・満散利久佐(1656)野関「なべての人、うちとけがたく、心をかれて、人のよりつきすくなし」
② 頼りとするところ。よるべ。〔詞葉新雅(1792)〕
③ はいってすぐの部屋。玄関脇にある一室。袴付け。
※浮世草子・浮世栄花一代男(1693)二「先よりつきに矢の根を琢き立、其次に鑓の間あれば」
④ 舞台などの正面。観客に向かった側。
※雑俳・太箸集(1835‐39)四「神楽堂よりつき丈は戸樋がある」
⑤ 茶庭などに設ける簡略な休息所。
※落語・素人茶道(1893)〈三代目春風亭柳枝〉「兎も角も御寄付(おヨリツキ)から拝見を為(し)て、御庭を拝見為て」
⑥ 取引市場で、前場または後場の最初の取引。また、その値段。寄り。⇔大引け。
⑦ 「よりつきねだん(寄付値段)」の略。
※雑俳・冠付五百題(1857)「追々繁昌・寄付(ヨリツキ)がヱヱ低いので」
より‐つ・く【寄付】
〘自カ五(四)〙
① そば近くに寄る。近づく。より添う。
※後撰(951‐953頃)恋二・六九一「ふしなくて君がたえにししらいとはよりつきがたき物にぞ有りける〈よみ人しらず〉」
※人情本・春色梅美婦禰(1841‐42頃)三「五日も七日も家へは寄(ヨリ)つかず」
② 頼りにして近づく。身を寄せる。
③ 物の怪(け)などが乗り移り、取りつく。
※栄花(1028‐92頃)根合「御物のけども移りて、〈略〉かやうの御有様は、いかでかはよりつき参らせんと思へど」
④ 物に取りすがる。つかまる。
⑤ 似合う。調和する。
※玉塵抄(1563)六「墨に糜の字は心えぬぞ。かいは墨によりつかぬぞ」
⑥ 取引所で、寄付きの立会が開始される。その日最初の立会相場が成立する。
※時事新報‐明治二二年(1889)一二月一四日「本場第一節は午後五時に漸く寄り付き」
よせ‐つ・ける【寄付】
〘他カ下一〙 よせつ・く 〘他カ下二〙 近づかせる。近寄らせる。寄りつかせる。
※栄花(1028‐92頃)月の宴「後れじ後れじと惑ひ給へるも、あへてよせつけ奉らず」
※浮世草子・其磧諸国物語(1744)一「おらんを、夫彦五郎そばあたりへよせ付ぬやうに有りければ」
よっ‐つ・く【寄付】
〘自カ五(四)〙 「よりつく(寄付)」の変化した語。
※洒落本・駅舎三友(1779頃)きぬぎぬ「おっかながってよっつかねへのだ」
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