化学辞典 第2版 の解説
ヘキサクロロアンチモン酸塩
ヘキサクロロアンチモンサンエン
hexachloroantimonate
【Ⅰ】ヘキサクロロアンチモン(Ⅲ)酸塩(hexachloroantimonate(Ⅲ)):MⅠ3[SbⅢ Cl6].アルカリ金属塩は,三塩化アンチモンのHCl溶液に計算量のアルカリ塩化物を加えると得られる.無色~淡黄色の結晶.正八面体型の [SbCl6]3- を含む.Sb-Cl約2.64 Å.水に溶けて加水分解する.【Ⅱ】ヘキサクロロアンチモン(Ⅳ)酸塩(hexachloroantimonate(Ⅳ)):MⅠ2[SbⅣ Cl6].アンチモンまたは三塩化アンチモンのHCl溶液に計算量のSbCl5をまぜて,これに計算量の塩化アルカリを加えると,この組成の結晶が得られる.MⅠ4[SbⅢ Cl6][SbⅤ Cl6]のように,SbⅢと SbⅤの両方が含まれる.アルカリ金属塩の固体結晶は紫黒色,水溶液は淡色.【Ⅲ】ヘキサクロロアンチモン(Ⅴ)酸塩(hexachloroantimonate(Ⅴ)):MⅠ[SbⅤ Cl6].三酸化二アンチモンSb2O3の濃塩酸溶液に塩素を飽和させた後,HClを通じると遊離酸の結晶を,塩化アルカリを加えるとアルカリ金属塩を生成する.[SbCl6]- は正八面体型構造.Sb-Cl約2.36 Å.H[SbCl6]・4.5H2Oは緑色の柱状結晶.融点44 ℃.潮解性で,水,エタノール,アセトンに可溶.K[SbCl6]・H2Oは吸湿性,緑色の八面体結晶.Ca[SbCl6]2・9H2Oは吸湿性の針状結晶.NH4[SbCl6]・H2Oは黄緑色の六角板状結晶.そのほか種々の塩が得られている.[CAS 1694-91-6]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報