改訂新版 世界大百科事典 「ヘリフォード」の意味・わかりやすい解説
ヘリフォード
Hereford
イギリス,イングランド西部,ヘリフォード・ウースター州西部にある農業都市で,1974年まで旧ヘリフォードシャーの州都であった。人口5万(1991)。ウェールズとの境界に近い,ワイ川中流に位置し,周辺農業地域の中心地として肉用牛(ヘリフォード種)の取引が行われるほか,食品加工,醸造,皮革,家具などの軽工業が発達する。7世紀初めにセバーン川を越えたサクソン族がウェールズ国境に建設した集落を起源とし,その後ハロルド2世が城を築き,1189年には自治都市となって羊毛交易で栄えた。しかし13世紀後半のウェールズ征服以後は軍事的重要性を失って衰退した。11世紀から建設された大聖堂(Cathedral Church of the Blessed Virgin Mary and St.Aethelberht)には,中世ヨーロッパの代表的世界図として有名な〈ヘリフォード図Mappi mundi〉(1290)が掲げられている。
執筆者:長谷川 孝治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報