セバーン川(読み)セバーンがわ(その他表記)River Severn

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セバーン川」の意味・わかりやすい解説

セバーン川
セバーンがわ
River Severn

イギリスイングランド西部とウェールズを流れる川。全長約 290km。河口部約 64km。流域面積約 1万1270km2。ウェールズ中部,ポーイス北西部のプリンリモン山北東斜面に源を発し,東南に流れたのち,氷河作用によって生じたポーイス谷に沿ってウェルシュプールなどを通過しながら北東流する。イングランドに入るとともに東に流れを変え,さらに南東,南,南西と半円を描くように方向を転じながらシュルーズベリーウースターグロスターなどの都市を通過し,河口の三角江を経て大西洋ブリストル海峡に注ぐ。おもな支流右岸のティーム川,ワイ川,左岸のスタウア川および 2本のエーボン川など。潮汐作用の影響はグロスターまで及ぶが,同市より下流の流路は曲流が著しく航行が困難なため,同市から三角江へ直接通じる運河が開かれている。三角江の幅は南ウェールズとサマセットの間でしだいに広がり,ブリストル海峡となる。1960年代末にシャープネス-リドニー間の鉄道橋役目を終え,今日では高速自動車道が通る吊橋セバーン橋(スパン長 990m)および斜張橋の第2セバーン橋(スパン長 456m),鉄道用のセバーン・トンネル(全長約 24km)がウェールズ南部とイングランドを結んでいる。河口部左岸のバークリーに建設された原子力発電所では,セバーン川の水が冷却水として利用されている。

セバーン川
セバーンがわ
Severn River

カナダ,オンタリオ州西部を北流する川。フィンガーレーク地域から出て北東流し,同名の湖を経てハドソン湾に注ぐ川。全長 980km。 1631年,T.ジェームズが発見し,イギリスの同名の川にちなんで命名早瀬が多いが,ウィニペグ湖とハドソン湾を結ぶ水路として交易商人たちに利用された。河口のフォートセバーンは,ハドソン湾会社により 85年に建設された交易所で,18世紀に一時廃止されたが,1759年にイギリスにより再建され,今日に及んでいる。

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改訂新版 世界大百科事典 「セバーン川」の意味・わかりやすい解説

セバーン[川]
River Severn

イギリス南西部,ウェールズ中部からイングランド西部を流れる川。ウェールズ語ではハブレン川という。長さ約290kmで,流域面積約1万1260km2。カンブリアで山地のプリンリモン山に源を発し,途中スタウア,エーボンなどの支流を合わせて西ミッドランド諸州の平野を蛇行,大きく半円形を描いてブリストル海峡へ注ぐ。河口では満潮時に海嘯(かいしよう)が生まれることで有名。流域にはシュルーズベリー,ウースター,グロスターなどの都市が立地し,また水運利用も盛んでテムズ,トレント,マージーの各河川とは運河が通じる。河口のエスチュアリー(三角江)には1886年完成の鉄道トンネルと1966年完成の道路つり橋があり,ブリストルとニューポートの間を結んでいる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「セバーン川」の意味・わかりやすい解説

セバーン川
せばーんがわ
Severn

イギリス西部の川。ウェールズ中央部の山地を水源とし、東流してイングランド中西部を通り、ブリストル海峡に注ぐ。長さ290キロメートル、流域面積1万1270平方キロメートル。流量もイギリス最大で、流路の80%は航行が可能である。運河により、テムズ、トレントなどの河川と結ばれ、イングランド中央部の水運網を形成し、産業革命初期の重要な物資輸送路となった。河口にはセバーン・トンネルとセバーン橋があり、イングランドと南ウェールズを結んでいる。

[小池一之]

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