日本大百科全書(ニッポニカ) 「べいごま」の意味・わかりやすい解説
べいごま
巻き貝の殻の中に鉛や砂を入れてつくった玩具(がんぐ)のこま。これを模した木製、鉄製のものもある。貝独楽(ばいごま)がなまって「べいごま」となったもの。古くは「ばいまわし」、または心棒がなくて糸鞭(むち)でたたいて回すこまなので「鞭(むち)独楽」「無精(ぶしょう)独楽」ともいい、江戸初期から子供の遊びとして流行した。空き樽(だる)などに茣蓙(ござ)をかぶせてへこませ、その中でこまを回し、相手のこまに当ててはじき出したほうを勝ちとする。明治末期に貝製にかわって大阪、埼玉で鉄の鋳物製ができ、以後流行した。第二次世界大戦中には鉄材の代用品として、陶製、ガラス製もあった。賭(か)け事遊びに用いられることから、めんこ、ビー玉遊びなどとともに小学校でしばしば禁止された。
[斎藤良輔]