ペトルスヒスパヌス(その他表記)Petrus Hispanus

改訂新版 世界大百科事典 「ペトルスヒスパヌス」の意味・わかりやすい解説

ペトルス・ヒスパヌス
Petrus Hispanus
生没年:1205ころ-77

ポルトガル生れのスコラ学者。パリ大学で学び,1230年ころ《論理学綱要》を書いた。他方,キリスト教聖職者としての道を登りつめ,76年教皇となり,ヨハネス21世Johannes ⅩⅩⅠを名のったが,在位8ヵ月にして,書斎天井が崩壊しその下敷きとなって死去した。彼の《論理学綱要》はアリストテレスの論理学書を上回る,きわめて優れた書物であり,17世紀までヨーロッパ大学教科書として使用された。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語 山下

世界大百科事典(旧版)内のペトルスヒスパヌスの言及

【論理学】より

…(2)中世――中世論理学はキリスト教のスコラ学者がつくりあげたのでスコラ論理学ともいわれる。中世論理学は13世紀にペトルス・ヒスパヌスによって書かれた《論理学綱要》でいちおうの成立を遂げるが,その完成は14世紀にオッカム(オッカムのウィリアム)によって書かれた《論理学要論》を待って行われる。ここでは古代のアリストテレスの三段論法も吸収されてはいるが,古代ギリシアになかった種類の論理学,つまり推断(コンセクエンティアconsequentia)の論理学が含まれている。…

※「ペトルスヒスパヌス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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