日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホソクビゴミムシ」の意味・わかりやすい解説
ホソクビゴミムシ
ほそくびごみむし / 細頸芥虫
bombardier beetle
昆虫綱甲虫目ゴミムシ科の一群であるホソクビゴミムシ亜科Brachininaeの昆虫の総称。オサムシ科の族あるいは別科とされることもある。世界各地に分布するが、とくにアフリカに多い。中形の甲虫で地表性、ほかのゴミムシ類とは腹部腹板が6節でなく、7節(雌)または8節(雄)認められることで異なる。一般に体の前半(頭、前胸)が細く、後半(上ばね、中後胸、腹部)が後方へ広がり、上ばね後方は切断状である。多くは川原の石下や湿った地面の石や倒木の下に隠れており、捕まえようとすると尾端から刺激性の液体を霧状に発射し、プッと発音する。この類のミイデラゴミムシ属Pheropsophusの種類が俗にヘッピリムシなどとよばれるのは、この性質による。液の主成分はキノンである。日本産は約10種ある。
[中根猛彦]