改訂新版 世界大百科事典 「ホマロメナ」の意味・わかりやすい解説
ホマロメナ
Homalomena
インド東部からニューギニアにかけて約50種と,南アメリカ熱帯域に数種が隔離的に分布するサトイモ科の植物。全草にショウブに似た芳香がある。種数が多く,形態的には多様で,高さ3cmほどの小さなものから2mをこえる大きなものまであり,茎は直立するものが多いが,地表を横走するものもある。葉も,狭披針形のものから広卵形で基部が心形となるものまである。花は,雌雄異花で花被はなく,肉穂花序をつくる。花序には不稔の部分はなく,下部に雌花が,上部に雄花がつき,宿存する仏焰苞(ぶつえんほう)につつまれる。
多くは林床性の種で,大型になるホマロメナ・ペンデュラH.pendula(Bl.)Buckh.f.などは観葉植物としてマレーシアでは普通に栽植される。精油は芳香性をもち,香水原料になるというが,とくに利用はされていないようである。またこの属の植物は民間薬,矢毒原料などに使われるが,食用にはされない。
執筆者:堀田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報