日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホンシャオユイチー」の意味・わかりやすい解説
ホンシャオユイチー
ほんしゃおゆいちー / 紅焼魚翅
フカのひれの煮物で、中国の代表的高級料理である。臭み抜きして柔らかくもどした全翅(チユワンチー)(ひれの形のまま乾燥したもの)を、形を崩さぬように上等のスープで煮ておく。ハクサイの芯(しん)のほうを炒(いた)め、酒、しょうゆ、スープを加えて味をととのえ、上に魚翅(ユイチー)を形のままそっとのせて、最後にかたくり粉の水溶きを入れて濃度をつける。これを食卓用の器に、魚翅を上に静かに移し入れ、とろりとした汁をかけて温かいところを供する。翅餅(チーピン)(ほぐしたフカのひれを固めたもの)を用いるときも同様である。ハクサイにカニの身を加えて魚翅をのせ、鶏(とり)スープを加えてしばらく煮て、かたくり粉で濃度をつけた蟹撈会翅(シエラオホイチー)も美味である。筵席(イエンシー)(宴会席)に魚翅料理を供するときは、魚翅席(ユイチーシー)で燕窩席(イエンウオシー)につぐ第二番目の高級筵席となり、このときは本菜の初めに魚翅料理を供する。
[野村万千代]