ホーンブック(その他表記)hornbook

翻訳|hornbook

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホーンブック」の意味・わかりやすい解説

ホーンブック
hornbook

本来はアルファベットの文字が記された紙や子牛の皮をさし,子供が文字を覚えるために用いた。転じて初等入門書の呼び名にも使われた。本来のものは,文字が書かれた紙などを角質の透明板で押えて使用したのでこの名がある。このホーンブックには取手がついていて子供たちはそれに紐を通し,帯にはさんで持歩いた。古くは子牛の皮,のち紙を用いた。冒頭に大きな十字架を記し,続いて大・小文字のアルファベットが記され,続く行には母音,母音と子音の組合せが表示され,さらにその下には「父と子と聖霊の御名によりて」の唱文と「主の祈り」,そして最後にローマ数字が記されているのが普通であった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のホーンブックの言及

【絵本】より


【外国】
 絵本の祖は前述したボヘミアの人コメニウスの《世界図絵》(1658)であるが,絵本の伝統はイギリスに根強い。
[イギリス]
 ぶっきらぼうな教科書だった板本のホーンブックhornbookが16世紀に始まり,17世紀から18世紀にわたって行商人の持ち歩く通俗本チャップブックchapbookがはびこるのであるが,イギリスでは子どもを心から愛したニューベリーJohn Newbery(1713‐67)が1744年に《小さなきれいなポケット本》を出してから,子どもの本の伝統がきずかれた。ビューイックThomas Bewick(1753‐1828)が木版で素朴な田園風景と動物とを生かし,W.ブレークがエッチングで内的な世界をひらき,ついにE.リアが石版で《ナンセンスの本》(1846)を著して,常識をこえたおかしさへ子どもを誘いこんだ。…

【児童文学】より

…以下,各国の歴史をたどる。
[イギリス]
 16~17世紀は手鏡のようなホーンブックhornbook,17~18世紀は江戸時代の赤本のような行商人によるチャップブックchapbookが,子どもたちの唯一の本だった。しかし1744年にニューベリーJ.Newberyがロンドンのセント・ポール大聖堂前に,世界で初めての子どものための本屋をひらいて,小型の美しい本を発行し,伝承歌謡を集めた《マザーグースの歌(マザーグース)》やO.ゴールドスミスに書かせたと思われる初の創作《靴ふたつさん》を送り出した。…

※「ホーンブック」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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