聖霊(読み)セイレイ(英語表記)Holy Spirit
Holy Ghost

デジタル大辞泉 「聖霊」の意味・読み・例文・類語

せい‐れい【聖霊】

Holy Spiritキリスト教で、父なる神、子なるキリストとともに三位さんみ一体を形成する第三の位格。人に宿り、啓示を与え、聖化へと導く。助け主。慰め主。

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精選版 日本国語大辞典 「聖霊」の意味・読み・例文・類語

せい‐れい【聖霊】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( [英語] Holy Spirit の訳語 ) キリスト教で、父なる神、子なるキリストとともに三位(さんみ)一体をなし、その第三位を占めるもの。人間に宿り、神意の啓示を感じ、精神活動を起こさせるもの。
    1. [初出の実例]「天父、神子、聖霊の名を以て、洗礼を施し」(出典:新聞雑誌‐六〇号附録・明治五年(1872)九月)
    2. 「之を父と子と聖霊(セイレイ)の名に入て弟子とし」(出典:引照新約全書(1880)馬太伝福音書)
  3. 先聖の神霊いにしえ聖人の霊。〔顔延之‐皇太子釈奠会作詩〕
  4. 神や天子威光。みいつ。〔柳宗元‐乞巧文〕
  5. せいれい(精霊)

しょう‐らいシャウ‥【聖霊】

  1. 〘 名詞 〙
  2. しょうりょう(精霊)
    1. [初出の実例]「聖霊(しゃうりょう)をしゃうらい」(出典:かた言(1650)三)
  3. しょうりょうえ(精霊会)
    1. [初出の実例]「二月は初午、十五日の涅槃、廿二日の聖礼(シャウライ)などつどつどいふにおよばず」(出典:浮世草子好色万金丹(1694)一)

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改訂新版 世界大百科事典 「聖霊」の意味・わかりやすい解説

聖霊 (せいれい)
Holy Spirit
Holy Ghost

霊は一般に超自然的な働きをもち,特定の宗教であるなしにかかわらず精神や身体に働きかけて,これに生命と特殊な力とを付与するものと考えられた。霊の働きはふつう宗教と共同体とに制約され,霊能者はその中でしか生まれないと見られるが,その制約と価値づけを超えるのが霊の特質でもあるので,非論理(パラロジカル)であるだけでなく,悪霊ともいっしょになって働くのである。キリスト教では霊の人格性と聖性を強調して〈聖霊〉と呼び,三位一体のうちの一位格とする。したがって聖霊の働きはたんに突発的なものや奇跡・超能力のたぐいではなく,神の意志の統一を示し,罪の赦(ゆる)しと希望を与え,〈神の国〉へと教会を導くものとされる。《ヨハネによる福音書》14章では,聖霊はイエスが去ったあと教団に与えられ,〈パラクレトス(助け主)〉としてこれを導くといわれ,《使徒行伝》2章では,イエスの昇天後50日目に聖霊が各自に与えられて教団をつくったといわれている(ペンテコステ)。これらによると,聖霊は教団にイエスとの同時性を与え,しかも新しい現実をつくるのである。

 この理解は旧約聖書でも同様で,《詩篇》51編では聖霊は罪の赦しの〈正しい霊〉であり,同時に〈新しい霊〉〈自由の霊〉と呼ばれている。旧約聖書は聖霊を語ることが少ないが,それは〈出エジプト〉が神の直接の行為とされ,エルサレム神殿には全能の神が現在すると考えられていたからである。そこで聖霊の降臨は,後期の預言者により,第2の出エジプトなりメシア到来なりにおける終末的救済として語られた。このように聖霊のできごとが歴史を超えているとともに歴史的・人格的核をもつとされたことは,キリスト教における霊の理解の特徴である。それゆえ,パウロは《コリント人への第2の手紙》3章6節で律法と福音の相違を〈文字と霊〉の対立で表したが,グノーシス的なマルキオンのように旧約律法を悪霊のしわざとはいわなかった。パウロはまた霊の賜物の多様性を認め,異言や病気の癒(いや)しもその一つとしたが,愛をもって最大のものとし,これを教団における終末待望の歌の主題とした(《コリント人への第1の手紙》12~13)。
三位一体
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「聖霊」の意味・わかりやすい解説

聖霊
せいれい
Holy Spirit 英語
Pneuma ギリシア語

キリスト教における三位(さんみ)一体論の第三位格。父なる神、子なる神と本質を同じくし、三者で一体を形成すると信じられている。『旧約聖書』では「霊」にあたるヘブライ語は「ルーアハ」ruah.であるが、これは本来神の「息」あるいは「風」を意味し、人間の生命原理とみなされている。『新約聖書』ではギリシア語の「プネウマ」がそれにあたるが、霊は神の力そのものであり、しばしば黙示文学にみられるような超自然的幻想を呼び起こす力も、霊の作用に数えられる。福音書(ふくいんしょ)記者たちは、イエスを神の霊に満たされた人として表現し、イエスのなかに、悪霊に憑(つ)かれた者をたちどころに癒(いや)す驚異的な霊力を認めている。「霊の人」が原始キリスト教会において特別な意味を担っていたことは、「使徒行伝(ぎょうでん)」や「パウロの手紙」を通して明らかである。

[山形孝夫]

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百科事典マイペディア 「聖霊」の意味・わかりやすい解説

聖霊【せいれい】

キリスト教の三位一体の第3の位格(ペルソナ)。英語でHoly Spirit,Holy Ghost。父なる神,子なるイエス・キリストと同一実体で,父と子から永遠の愛として出る霊(ただし東方教会では,父からのみ発出するとされ,東西教会の教義上の争点)。パラクレトス(助け主),恵みの与え主,慰め主,神の霊などと呼ばれ,図像では火炎の舌,鳩などで示される。
→関連項目聖霊降臨祭

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「聖霊」の意味・わかりやすい解説

聖霊
せいれい
Sanctus Spiritus; Holy Spirit

三位一体の玄義における3つの位格 personaの一つであり,ペルソナとしての独自性を有する一方,また真なる神として父と子とともに一つの実体をなす。子が父から生れるのに対して父 (および子) から発出するものであり,人々の霊魂を照し清め強め慰めるものとしてイエス・キリストについてのあかしを示し,キリストの栄光を現し人々を導いて,すべての真理を悟らせるのである。聖霊は絶えず人々の間に働き,彼らを聖化し,キリストの肢体である教会を「立てる」働きが帰せられている。

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普及版 字通 「聖霊」の読み・字形・画数・意味

【聖霊】せいれい

神霊。

字通「聖」の項目を見る

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