改訂新版 世界大百科事典 「ボンネットモンキー」の意味・わかりやすい解説
ボンネットモンキー
bonnet monkey
Macaca radiata
おかっぱのような頭の毛をもつ霊長目オナガザル科の旧世界ザル。ボンネット帽をかぶっているように見えるのでこの名がつけられた。頭の毛は正中で左右に分かれていて,頭の毛が放射状に生えるトクモンキーM.sinica(英名toque monkey)と区別できる。南インドに分布し,常緑林から疎開林,村や町にまで幅広い環境に生息している。ほっそりした体つきで,長い尾をもつ。体毛は背側が灰褐色ないし褐色,腹側は白っぽい。顔は淡い肌色だが,雌には赤い顔をしたものもいる。体重約8kg,頭胴長約50cm,尾長約55cm。半樹上・半地上生活者。植物食を主とした雑食性で,クモ,昆虫,トカゲなどもよく食べる。20~50頭の複雄群で生活し,4~6km2の遊動域をもつ。雄間には明確な順位があるが,許容度が高く低順位の雄の交尾がじゃまされることはない。おとなどうし,あるいはおとなと子どもがよく遊ぶ特性がある。はっきりした交尾期はみられず,妊娠期間は5~6ヵ月である。
執筆者:黒田 末寿
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報