ポリ硫化アンモニウム(読み)ポリリュウカアンモニウム

化学辞典 第2版 「ポリ硫化アンモニウム」の解説

ポリ硫化アンモニウム
ポリリュウカアンモニウム
ammonium polysulfide

(NH4)2Sn(n ≧ 2).多硫化アンモニウムともいう(学術用語方式).n = 2~5および9のものが得られており,3~5は固体も得られている.硫黄懸濁-アンモニア水にH2Sを通気すると,おもにn = 4,5の水溶液が得られる.水溶液は青色を帯びることが多いが,S3・ラジカルの存在によるとされる.固体の色は,nが小さいものは黄色なので黄色硫化アンモニウムともいう.nが大きくなるにつれて赤色を帯びる.折れ線形鎖状の [Sn]2- からなるイオン結晶.固体はあまり安定ではなく,水溶液はある程度保存しうるが,しだいに,NH3,S,H2Sに分解する.酸を加えるとH2Sを発生し,Sを析出する.ポリ硫化アンモニウム水溶液は,金属硫化物中,Sn,Sbなどの硫化物のみを溶解するので,陽イオン定性分析で利用される.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android