モリブデン酸アンモニウム(読み)もりぶでんさんあんもにうむ(英語表記)ammonium molybdate

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

モリブデン酸アンモニウム
もりぶでんさんあんもにうむ
ammonium molybdate

モリブデン(Ⅵ)のオキソ酸であるモリブデン酸アンモニウム塩オルトモリブデン酸塩(NH4)2MoO4(正式名称はモリブデン(Ⅵ)酸アンモニウム)は、酸化モリブデンを熱濃アンモニア水に溶かして結晶化させると得られる。希アンモニア性水溶液からはパラモリブデン酸塩(NH4)6Mo7O24・4H2O(正式名称はテトラコサオキシド七モリブデン(Ⅵ)酸アンモニウム四水和物)を得るが、パラモリブデン酸のようにいくつかの単量体のオキソ酸が縮合して生成した多量体オキソ酸をイソポリ酸という。

 パラモリブデン酸アンモニウムの濃硝酸溶液にリン酸の溶液を加えると、ドデカモリブドリン酸水素アンモニウム(NH4)2H(PMo12O40)・H2O(正式名称はテトラコンタリン十二モリブデン(Ⅵ)酸アンモニウム一水和物)の黄色沈殿を得る。ヒ酸でも同様な沈殿を生じ、リンやヒ素の検出反応に利用されるが、この種の複数の元素の縮合オキソ酸をヘテロポリ酸という。

[岩本振武]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

モリブデン酸アンモニウム
モリブデンさんアンモニウム
ammonium molybdate

種々の組成をもつものが存在するが,普通分析に使う結晶はパラ酸塩 (NH4)6[Mo7O24]・4H2O である。水鉛鉱を焙焼して酸化モリブデンとし,硝酸で洗って不純物を除き,アンモニア水に溶かし,再結晶させてつくる。無色,またはわずかに緑か黄色を帯びた柱状晶。水に可溶,アセトン,アルコールに不溶。顔料 (染色レーキ,モリブデン赤) ,試薬として用いられる。

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