改訂新版 世界大百科事典 「マイスネル小体」の意味・わかりやすい解説
マイスネル小体 (マイスネルしょうたい)
Meissner's corpuscle
手掌や足底の皮膚の浅層,すなわち表皮と真皮の境界部付近にある知覚神経の特殊終末装置。0.08mm×0.5mmほどの大きさで触覚を感受するもので,触覚小体ともよばれる。皮膚に分布する知覚神経繊維のうちでも太いほうに属する有髄性のAⅡ型繊維の末梢部分と,これを5~10層に囲む層板状細胞群とが,この小体の主要構成要素である。神経繊維は,小体内で無髄化し,蛇行と分枝をくり返すが,層板状細胞による密な覆いをつねに受けている。したがって,層板状細胞は,基本的には無髄神経におけるシュワン細胞と同じ役割を果たしながら,さらに神経軸索の周囲を埋めつくして軸索位置をある程度固定することにより触覚感受性を高めるのに役立つと考えられる。触覚受容体の位置は体表にできるだけ近いほうが有利であるが,マイスネル小体が真皮最浅部にあり,皮膚のより浅層(表皮)に位置していないのは,表皮内には血管がなく,そこでは小体の維持のための養分が得がたいためであろう。
→触覚
執筆者:山内 昭雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報