蛇行(読み)だこう

精選版 日本国語大辞典 「蛇行」の意味・読み・例文・類語

だ‐こう ‥カウ【蛇行】

〘名〙
① 蛇のはうようにまがりくねって行くこと。また、まがりくねっていること。
日本風景論(1894)〈志賀重昂〉五「身を側てて洞門に入り、五体を伏して蛇行すれば」 〔戦国策‐秦策・恵文君〕
河川多くのS字形をつなぎ合わせたような形で流れること。平原をゆるやかに流れる河川に多い。曲流。
※しろうと農村見学(1954)〈桑原武夫〉「このあたりはもと流れが蛇行し」

じゃ‐こう ‥カウ【蛇行】

〘名〙 蛇が進むようにくねりまがっていくこと。だこう。〔英和和英地学字彙(1914)〕

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デジタル大辞泉 「蛇行」の意味・読み・例文・類語

だ‐こう〔‐カウ〕【蛇行】

[名](スル)
蛇がはうように、くねくねと左右に曲がって行くこと。「道が蛇行する」「蛇行運転」
河川が曲がりくねって流れること。メアンダー。曲流。
[類語](1折れ曲がる曲がりくねるくねるうねる/(2水流清流濁流急流激流奔流懸河緩流放流放水貫流合流流れる流動する流通する流出するける通う・流れ下る・押し流す逆巻く渦巻く淀む

じゃ‐こう〔‐カウ〕【蛇行】

[名](スル)だこう(蛇行)

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百科事典マイペディア 「蛇行」の意味・わかりやすい解説

蛇行【だこう】

河川がヘビのようになんども屈曲した流路をとって流れること。中流以下の平野,特に下流のはんらん原によくみられる。湾曲部は外側が深くえぐれた淵となり,内側が州となる。湾曲部の外側は浸食され,内側は堆積がすすみ,蛇行は次第に発達する。一つの湾曲部が次の湾曲部に追いつかれた場合や洪水などで急に流路が移った場合,両者の間のくびれた部分が切断され,もとの河道に三日月湖牛角湖)ができる。日本では石狩川天塩川などに代表的な例がみられる。
→関連項目石狩川鴨緑江オーデル[川]河川天塩川那珂川那賀川仁淀川日高川プール

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「蛇行」の意味・わかりやすい解説

蛇行
だこう

川の流路が多少とも規則的に左右に振れて、蛇が進むときのように曲がりくねってS字形の連なった平面形を示すこと。曲流またはメアンダーmeanderともいう。後者はトルコのブユク・メンデレス川にちなんでつけられた呼称である。山地丘陵に深い谷をうがって蛇行する穿入蛇行(せんにゅうだこう)と、平野上に発達する自由蛇行とに分かれる。流路の湾曲部で水が衝突する凹岸を攻撃斜面、対岸の土砂がたまる凸岸を滑走斜面という。流路の横断面は凹岸寄りに淵(ふち)を生じて水深が大きく、対岸に向かって浅くなるので交互に非対称形の横断面となる。攻撃斜面は流水の衝突によって絶えず侵食を受け、しだいに後退する。滑走斜面側では土砂が堆積(たいせき)して前進し、蛇行州を生ずる。流路はさまざまな原因によって蛇行を始めるが、自由蛇行の発生には河床勾配(こうばい)が緩く、側方に移動しやすい、すなわち、沖積平野のように未固結の物質からなり、基盤岩などが露出していないほうが好都合である。蛇行流路はしだいに湾曲の度合いを増していき、ついにはループを描くように蛇行袂状(べいじょう)部がくびれて切れる。これを蛇行切断といい、切断された元の流路は三日月湖または牛角湖(ぎゅうかくこ)となって残る。水理量が変化すると網状流となる。

[髙山茂美]

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普及版 字通 「蛇行」の読み・字形・画数・意味

【蛇行】だこう(かう)

川が曲がりくねって流れる。唐・柳宗元〔小丘の西、小石に至る記〕の西端よりしてめば、斗折蛇行し、滅見るべし。其の岸勢は犬差互(さご)して、其の源を知るべからず。

字通「蛇」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「蛇行」の意味・わかりやすい解説

蛇行
だこう
meander

河川がへびのように曲りくねって流れること。曲流ともいう。英語のメアンダー meanderは小アジア (トルコ) のイアンダー川の名に由来。流水の強く当る攻撃斜面は浸食されるため,蛇行の曲率が増すとともに,蛇行は下流へ移動する。湾曲が著しくなり切断された蛇行を切断蛇行と呼び,旧流路は三日月湖となる。蛇行の湾曲の左右両端を上下流にそれぞれ結んだ幅をもつ帯状地域を蛇行帯という。沖積平野にみられる蛇行を自由蛇行,山地に谷を掘刻んで発達する蛇行を穿入 (せんにゅう) 蛇行という。自由蛇行は壮年期の河川の特徴の一つ。自由蛇行した河川が回春すると穿入蛇行となる。

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世界大百科事典(旧版)内の蛇行の言及

【川】より

…そのため,扇状地から流路が延長されている三角州では,放棄された旧河道がみられることが多い。
[蛇行と分流]
 三角州を流れる河川の特徴に蛇行(だこう)と分流がある。河川は常に直線的に流れているわけではなく,湾曲して流れている。…

※「蛇行」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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