マソラ本文

デジタル大辞泉プラス 「マソラ本文」の解説

マソラ本文

ユダヤ教社会に古くから伝承されてきたヘブライ語聖書の本文マソラと呼ばれる伝承者により継承される。現代のヘブライ語聖書の学術的校訂本の底本には、パレスティナティベリア本拠地としたマソラの家系、ベン・アシェル家による本文(ベン・アシェル本文)の質の高い写本である「アレッポ写本」(10世紀ごろ)、「レニングラード写本」(11世紀ごろ)が主に用いられる。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のマソラ本文の言及

【旧約聖書】より

…ユダヤ教時代の日常語であったアラム語は,《ダニエル書》と《エズラ記》の一部に,あとはごくわずか例外的に使用されているにとどまる。聖書本文の保持伝承のために,マソラ学者と呼ばれる人々が早くから努力を重ね,後代よい写本を選んで本文を校訂し,必要な注記を欄外に加え,死語となったヘブライ語で本文を正しく読むことのできるように,子音字で書かれている本文に母音符号を添え,今日マソラ本文と呼ばれる原典が7世紀以降に完成した。原典は24巻から成り,〈律法(トーラー)〉,〈預言者(ネビーイーム)〉,〈諸書(ケスービーム)〉の3部に分かたれている。…

【聖書】より

…旧約聖書の本文はセム語の通例で子音字だけで書かれていたので,ヘブライ語が死語になってからは正しい読み方を示すくふうがなされ,6世紀ごろから10世紀にかけて,マソラ(伝承)学者によって母音を指示する字外音標つきの校訂本文が作成された。字外音標の方式は複雑に発達したが,その後に継承された〈マソラ本文〉はパレスティナのティベリアスを中心とする西方マソラ学派のものであり,中でもベン・アシェル家の作業による本文(〈ベン・アシェル本〉)が優位を占めた。その系統の完全な本文である〈レニングラード写本〉(1008)およびその4分の1が失われた〈アレッポ写本〉(930ころ)が最近の学問的校訂本の底本として使用されている。…

※「マソラ本文」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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