家(いえ)の系譜。家が創設されると、初代家長夫婦は後継者たるべき者を跡取りと決め、これに配偶者を入れ、その家が何世代にもわたって継承され、当初の成員は新陳代謝し去っても、同じ家が、できる限り永続することを願った。
跡取りとされなかった子は、他家へ婚出するか養取されるかして、生家の家系から他の家の家系へ所属がえするか、もしくは、生家を本家とし、その本家に従属し依存する分家を創設してもらうかした。跡取りでない息子に嫁をとって分家させるだけでなく、娘に婿をとって分家させることもあり、長年奉公した住込み奉公人に嫁をとって分家させることもあった。ある本家から分岐する形で創設されたこれらの分家も、本家と同様に世代を超えて継承された。このような分家の家系は、先祖である分家初代にまでさかのぼってさらにその先の先祖をたどろうとするとき、本家の家系からの分かれとして社会的に位置づけられた。
[中野 卓]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報