改訂新版 世界大百科事典 「マビニ」の意味・わかりやすい解説
マビニ
Apolinario Mabini
生没年:1864-1903
フィリピン革命の思想的指導者。ルソン島南部のバタンガス州タナワン町出身。父は村長を務めた徳望家であったが貧しかったので,苦学して30歳でサント・トマス大学法学部を卒業した。学生時代からリサールのフィリピン民族同盟などに参加してスペイン統治改革運動に従事していたので,1896年フィリピン革命が始まるとまもなく投獄されたが,両足麻痺症のため数ヵ月で釈放された。98年6月アギナルドに請われて政治顧問となり,革命政府の設立からマロロス共和国の樹立,自ら組閣した内閣の運営(99年1~5月)まで,一貫して革命が大資本家グループの階級利害に利用されないよう抵抗し続けた。その後アメリカ軍の侵略に徹底反抗したので,1901-02年グアム島に流刑された。革命に関する政治哲学的著述が多数ある。
執筆者:池端 雪浦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報