改訂新版 世界大百科事典 「マルダーン」の意味・わかりやすい解説
マルダーン
Mardān
パキスタン北部,北西辺境州中部の都市。人口24万5926(1998)。カーブル川流域のユースフザイ平野にあり,同平野からスワート,チトラールなどの北方山岳地帯に至る交通路の要地を占める。周辺は上スワート用水路に灌漑される肥沃な農業地帯で,サトウキビ,タバコ,米,小麦などの産が多い。それらを集散するとともに,精糖,タバコなどの諸工業が立地する。シク戦争後の1854年にイギリスにより要塞が築かれ,英領時代には北西辺境州における軍事拠点の一つとなった。東北東約11kmのシャーバーズ・ガリーには前3世紀のアショーカ王の磨崖詔勅が残るほか,周辺には京都大学により発掘されたメハサンダなどのガンダーラ仏教寺院址が多く残る。
執筆者:応地 利明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報