マンチェスター運河(読み)マンチェスターうんが(英語表記)Manchester Ship Canal

改訂新版 世界大百科事典 「マンチェスター運河」の意味・わかりやすい解説

マンチェスター運河 (マンチェスターうんが)
Manchester Ship Canal

イギリス,イングランド北西部,グレーター・マンチェスター州のマンチェスターとマージー川エスチュアリー(三角江)を結ぶ運河。長さ57km,最小幅37m,深さ8.5m以上で,1.2万トン級の船舶遡航可能なイギリス最大の外洋船航行運河。エスチュアリー南岸のイースタムに始まり,入江に沿ってランコーンに至り,そこから東へ直線状に延びてラッチフォードの閘門(こうもん)で潮汐流入を防ぐ。その後はマージー川,アーウェル川の水を取り入れてマンチェスターに至る。19世紀後半,マンチェスターの綿工業の発展とそれによる原料輸送費の低減を目的に計画され,E.L.ウィリアムズ技師が1887年に着工,94年に完成した。この結果マンチェスターには多くのドック埠頭,倉庫が立地し,海港的な機能を有することになり,この運河はランカシャー工業地域の発展に大きく貢献した。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のマンチェスター運河の言及

【運河】より

…かかる多数のはしけ用運河のほか,19世紀後半には重要な航洋船用運河が相次いで開かれた。オランダの新水路(1872),北海運河(1876),マンチェスター運河(1894)はそれぞれ外洋からロッテルダム,アムステルダム,マンチェスターまで海上航路を引き入れたものであり,キール運河(1894)は北海とバルト海を結ぶ海上航路を大幅に短縮した。第2次大戦後にはローヌ川が根本的に改変され,運河化された水路と多数の新運河によって大型はしけの航行がはじまった。…

※「マンチェスター運河」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android