マーイ(読み)まーい(その他表記)Máj

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マーイ」の意味・わかりやすい解説

マーイ
まーい
Máj

チェコスロバキアの詩人カレル・ヒネク・マーハ叙情詩的叙事詩。「五月」の意。1836年刊。「森の主」とよばれるロマンチックな盗賊ビレームとその恋人ヤルミラの悲恋を中心として、人の世のできごとと自然の叫びを歌っている。全体は四部に分かれ、インテルメッツォが2か所にある。内容的には、客観的な叙事――ビレームは処刑され、ヤルミラは湖に投身する――と主観的な叙情を交錯させ、格調に富んだ作品で、とくに一人称の使用が効果的。最終行の呼びかけには作者の名ヒネクが出てきて、急速に夢と現実が交錯する。「チェコの人びとはよき国民……」で始まる、短い前置きのつく版もある。この詩は、チェコの国民にとくに愛好され、詩学者ムカジョフスキーによる詳細な分析がある。

飯島 周]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のマーイの言及

【チェコ】より

…またこの時代,鋭い社会批評家ボロフスキーKarel Havliček Borovský(1821‐56)も活躍している。19世紀の60‐70年代は雑誌《マーイ》,80年代は文芸誌《ルミール》を中心に文壇は発展し,《マーイ》ではネルダ,ハーレクVitězslav Hálek(1835‐74),スベトラーKarolína Světláらが,《ルミール》ではチェフブルフリツキー,スラーデクJosef Václav Sládek(1845‐1912),ゼイエルJulius Zeyer(1841‐1945)らが活躍して,西欧諸国のレベルに追いつこうとした。またこのころの散文作家にはライスKarel Václav Rais(1859‐1926)や,歴史小説で有名なイラーセクがいる。…

※「マーイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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