化学辞典 第2版 の解説
ミカエリス-メンテンの式
ミカエリスメンテンノシキ
Michaelis-Menten equation
酵素反応の解析に用いられる基本的な式.L. Michaelis(ミカエリス)とM.L. Mentenは,酵母インベルターゼによるショ糖の加水分解反応の速度を測定し,その結果から式(1)に示すように,まず酵素(E)が基質(S)と結合して酵素-基質複合体(ES)を形成し,次に式(2)に従って反応生成物(P)を生じるとともに酵素が遊離する2段階の反応機構を提唱した.式(1)を平衡反応式と考え,式(3)で示される反応速度式を得,ミカエリス-メンテンの式と名づけた.
ここで,υは反応速度,Km はESの解離定数,Sは基質濃度,Vは基質が十分存在するときの反応速度を表す.Vおよび Km は酵素の触媒能を表す尺度となる.その後,G.E. BriggesとJ.B.S. Haldeneは,ESの濃度変化が基質のそれに比べて十分小さいことから,定常動力学にもとづいて同様の速度式を得た.ただし,
Km = (k2 + k3)/k1
であり,ミカエリス定数とよばれる.この場合,k2 が k3 に比べて十分に大きければ,ミカエリス-メンテンの式の Km と一致し,ESの解離定数である.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報