酵素-基質複合体(読み)コウソキシツフクゴウタイ

化学辞典 第2版 「酵素-基質複合体」の解説

酵素-基質複合体
コウソキシツフクゴウタイ
enzyme-substrate complex

ES複合体ともいう.酵素反応の初期段階において,酵素基質結合し,反応中間体を形成する.この中間体を酵素-基質複合体といい,次に酵素の触媒作用によって生成物遊離の酵素になる.複合体の存在について,たとえば,キモトリプシンとその合成基質トリフルオロ酢酸p-ニトロフェニルエステルとの複合体が結晶として得られている.また,カタラーゼなどヘム補欠分子とする酵素では,基質との結合による可視部吸収帯の変化から,種々の複合体の存在が観察される.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「酵素-基質複合体」の解説

酵素基質複合体

 酵素反応が進行するとき,まず酵素と基質が結合して一時的に複合体を形成したあと,反応が行われ産物が生成する.この反応の最初の段階に形成される複合体.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の酵素-基質複合体の言及

【酵素】より

…酵素の触媒反応は図3のように三つの過程を経て進行する。まず酵素分子(E)の活性中心に基質(S)が結合して酵素・基質複合体(ESコンプレクス)が形成される。この複合体はこのモデルを提唱したL.ミハエリスにちなんでミハエリス・コンプレクスとも呼ばれるが,きわめて不安定で,触媒反応が進行しない場合には容易に両者は解離する。…

※「酵素-基質複合体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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