法則の辞典 「ミランコヴィッチ仮説」の解説 ミランコヴィッチ仮説【Milankovitch hypothesis】 1920年にミランコヴィッチ(M. Milankovitch)が提案したもので,地球軌道の三要素(離心率,地軸の傾斜,歳差運動)の長周期変動によって,北半球高緯度地方の夏の日射量が増減し,それに応じて氷期と間氷期が繰り返されるという仮説.地球の公転軌道の変化は円形から楕円形へと約十万年と40万年の周期で離心率が変化する.地軸の傾斜角は22.1° と24.5° の間を4.1万年の周期で変わる.さらに地球自転の歳差運動によって,各季節ごとの地球~太陽間距離は2.3万年の周期で変わる.これらの軌道要素の組合せで北半球の緯度別日射量を計算すると,夏の低極年が氷期に,高極年が間氷期に対応するというものである.この周期が,ミランコヴィッチのサイクル*と呼ばれる. このアイデアは提案された当時はあまり評価されなかった.しかし,酸素同位対比をもとに大西洋熱帯海域の水温変化を求めたエミリアニ(C. Emiliani)のデータなどからしだいに支持者が増加してきている. 出典 朝倉書店法則の辞典について 情報 Sponserd by