改訂新版 世界大百科事典 「ミンドン」の意味・わかりやすい解説
ミンドン
Mindon
生没年:1814-78
コンバウン朝ビルマの第10代国王。在位1853-78年。幼名はマウン・ルイン。第8代国王ターヤーワディの王子で,第9代国王パガンとは異母兄弟にあたる。第2次ビルマ戦争が起こった1852年,弟カナウン侯と共同で兄のパガン王に反乱,翌年,王位についた。就位後ただちに戦闘を停止させたが,インド総督によってペグー地方のイギリス領化が一方的に宣言されたため,講和条約の締結には死ぬまで同意しなかった。この屈辱的なできごとから気持ちをそらすため,57年マンダレー丘の南西麓に新しい王城を築いて遷都した。そしてフランス,イタリア,アメリカなどと国交を開き,留学生を各国に派遣した。67年にはクジャク印の硬貨を発行し,税制を整備,官吏に月給制を採用して食封制を廃止するなど,近代化に努めた。71年には第5回仏典結集(けつじゆう)を主催し,石板729枚に経律論の三蔵を刻ませた。翌72年にはキンウン・ミンジーを団長とする使節団をロンドンに派遣してイギリス政府と直接交渉をしようとしたが,成功しなかった。なお,ミングン,ミンゴンダイン両王子の反乱で最も信頼していた弟カナウン侯を失ったため,王位の後継者定めはしないまま世を去った。
執筆者:大野 徹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報