交戦国間の合意によって戦争状態を終了させる通例の方式。平和条約ともいう。休戦協定等が先行することがあるが、戦争状態の終了は法的には講和条約による。通常、戦争状態の終了と平和状態の回復のほか、領土問題や賠償などのいわゆる戦後処理、当事国間の以後の関係を規律する基本原則などを規定する。1956年の日ソ共同宣言が、両国間の戦争状態を終了させながら講和条約とされなかったのは、領土問題につき合意できなかったからである。講和条約の効果としては、条約にとくに規定があるもののほか、発効時における当事国関係の現状の固定化、交戦中の違法行為への大赦、捕虜の解放(ただし1949年の捕虜の待遇に関するジュネーブ条約第118条は、捕虜は実際の敵対行為の終了後遅滞なく解放されるべきものとした)、戦時中に効力を停止していた条約の効力回復、などが一般にあげられる。講和条約は、特殊な状況下で締結されるものではあるが、法的には一般の条約と同じ性質のものであり、したがってその交渉、成立、発効、効力などについては、条約に関する一般国際法の規則が適用される。
なお、現代国際法では、違法な武力行使によって締結された条約は無効とされているから(1969年の「条約法に関するウィーン条約」第52条)こうした形で締結された講和条約は無効であると解される余地がある。このような場合には、なんらかの形による国連の関与によって戦争状態を終結させるべきであろう。国連安全保障理事会の決定による軍事的強制措置は、講和条約によってではなく安全保障理事会の決議によって終了する。
[松井芳郎]
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…交戦国間の戦争状態を終了させる条約。講和条約ともいう。また平和条約締結を講和と呼ぶこともある。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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