改訂新版 世界大百科事典 「メーワール」の意味・わかりやすい解説
メーワール
Mewār
インド北西部,ラージャスターン州南東端部の地方名。旧ウダイプル藩王国の別称。西のアラバリ山脈とその東麓部に広がる沖積平坦面からなる。ガンガー(ガンジス)川水系のバナス川とカンバト(キャンベイ)湾に注ぐマーヒー川の分水域にあたり,北インドとアラビア海沿岸地方を結ぶ交通上,戦略上の要衝を占める。トウモロコシの産が多く,そのほか小麦,綿花,油料作物などを産する。紡績,セメントなどの工業も立地する。12~17世紀の長期にわたるムスリム諸勢力に対する勇猛な抵抗をもってインド史上名高い,ラージプート族の盟主シソーディヤ氏族の根拠地。彼らは8世紀に現チッタウルガルを主都として建国した。ムガル皇帝アクバルによる攻略後,1568年ウダイプルに遷都し,ウダイプル王国と称した。1818年にはイギリスの保護領となり,英領下には藩王国として存続した。旧藩王(マハーラーナー)はラージプート族諸王のなかで最高位に位置づけられてきた。
執筆者:応地 利明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報