ガンガー

百科事典マイペディア 「ガンガー」の意味・わかりやすい解説

ガンガー[川]【ガンガー】

ガンジス川とも。インドの大河ヒマラヤ山脈南麓に発し,南下,東流してヒンドスタン平原を潤し,下流ブラマプトラ川と合して大三角州をつくり,ベンガル湾に注ぐ。全長2510km。ブラマプトラ川と合わせた流域面積は約162万km2。おもな支流ヤムナー,ゴーグラー,ガンダク。上流域は綿花,小麦,サトウキビ,中流域で米,サトウキビ,下流域で米,黄麻,サトウキビを産する。紀元前1000年ころ,インド・アーリヤ系の人々が中流域に南下,先住民の諸文化と融合しつつベーダ文化を形成した。下流域でもマウリヤ朝グプタ朝,ゴール朝が興亡するなど古くからインド世界の中心地。ヒンドゥー教徒にとって聖なる川で,その人格神ガンガーが知られる。また沐浴をしたり遣骨を流したりすることは無上の喜びとされる。沿岸には聖地が多く,巡礼者が後を絶たない。
→関連項目インド中華人民共和国ヒンドスタン平原南アジア

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改訂新版 世界大百科事典 「ガンガー」の意味・わかりやすい解説

ガンガー
Gaṅgā[サンスクリツト]

インド人の信仰の中で,その水に触れればたちまち罪障,けがれから解放されるとされているガンガー(ガンジス)川を神格化した女神。彼女はヒマラヤ山の娘として生まれ天界で育ったため,その罪を清める力はもっぱら天界で発揮されていた。彼女の浄化力がいかにして地上の人間にもたらされたかを語る次のような神話ガンガー川の聖地で今も語られている。

 自らの傲慢のため神の怒りをかい6万の息子を一時に失ったサガラ王は,非業の死をとげた息子たちを昇天させるために,ガンガーを地上・地下にも招来すべく苦行を積んだ。この苦行は4代目のバギーラタのとき成就したが,彼はさらに天から落ちてくる急激な水流を緩和してもらうための苦行も積まねばならなかった。これが成就したとき,シバ神がその額で水流を受けとめ湖にためたうえ,頭髪の間から川として流出させるようにしてくれた。こうして地下の6万の息子たちは昇天し,地上の人間もガンガーの恩恵を受けるようになったと考えられている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガンガー」の意味・わかりやすい解説

ガンガー
がんがー
Ga

ガンジス川の精を神格化して女神となしたもの。ヒンドゥー教の河川崇拝は、ガンジス川の流域にベナレス(ワーラーナシ)をはじめ多くの聖地をつくった。そして聖なる川に沐浴(もくよく)し、死したのちにその灰や骨をここに流す者は天国に昇ると信じられて、多くの神話や伝説が伝えられてきた。『ラーマーヤナ』では、バギーラタ王は父祖の霊を慰めるために激しい苦行に身を挺(てい)し、それを嘉(よみ)したシバ神が、天上に流れていたこの神々の川を自分の弁髪に落下させて地上にもたらし、さらに海に注ぐようにしたという。また、ヒマラヤに源を発することから、この女神は雪山の長女ともいわれる。

[原 實]

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