改訂新版 世界大百科事典 「モリネズミ」の意味・わかりやすい解説
モリネズミ (森鼠)
wood rat
齧歯(げつし)目ネズミ科モリネズミ属Neotomaの哺乳類の総称。ドブネズミに似るが体毛が絹毛状。北アメリカのブリティッシュ・コロンビアから中央アメリカのニカラグアまで分布し,20種が知られる。体長15~23cm,尾長7.5~24cm,体重200~450g。体は比較的ずんぐりしており,鼻先が丸く,眼はやや小さい。耳は大きく,尾には毛がまばらにはえるが,フサオモリネズミN.cinereaのように房状の種もある。体背面は暗褐色から灰黄色まであり,腹面は白色か淡黄色である。
熱帯の低湿地や密林から砂漠,山地の岩の多い斜面,森林などに広くすみ,一般に夜行性で冬眠はしない。種類によっては大きな巣をつくり,サバクモリネズミ(サバクウッドラット)N.lepidaのようにサボテンのかけらを集めて外壁とし,直径1m,高さ40cmに達するものもある。いろいろな物を集める習性があるため,行商人pack manに由来するpack ratの別名がある。南方に生息する種では一年中繁殖し,年に2~3回,妊娠期間30~40日の後,1産1~4子を生む。寿命は飼育下のムナジロモリネズミ(ノドジロウッドラット)N.albigulaで7年8ヵ月の記録がある。
執筆者:今泉 忠明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報