最新 地学事典 「ユーテクティック」の解説
ユーテクティック
eutectic
固溶体を含まないn成分系において,一定圧力のもとでn種の固相と液相が共存する状態。一定圧力のもとではこの温度(ユーテクティック温度,eutectic temperature)は一定で,かつ液相の存在する最低温度であり,この温度に相当するリキダス上の不変点をユーテクティック点(eutectic point)という。与えられた成分系ではユーテクティック点の組成は定まっていて,この組成に対応する結晶の集合体をユーテクティック混合物(eutectic mixture),結晶の量比をユーテクティック比(eutectic ratio)という。ユーテクティック点の存在する系では,液相の結晶作用が進むと残液の組成はユーテクティック点の組成に向かって変化し,ここで一定温度のもとで結晶作用(eutectic crystallization)が完了。逆にこの系の端成分結晶の任意の混合物を熱するとユーテクティック温度でユーテクティック比に相当する成分の液が最初にできる。ギリシア語のeu(よく)とtekein(溶ける)の合成語でF.Guthrie(1884)が初めて使用。共融の日本語訳があるが,語意は最低温溶融の意味であり,かつcotecticこそ共融の意味であるから,この訳語は用いないほうがよい。
執筆者:端山 好和
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

