改訂新版 世界大百科事典 「ユーロチウム」の意味・わかりやすい解説
ユーロチウム
Eurotium
子囊菌類の不整子囊菌綱,コウジカビ科にふくまれる。子実体はゆるくからまった菌糸網あるいは偽柔組織で包まれる閉子囊殻で,その内部に球形~亜球形の子囊が散在する。子囊が熟すと壁が崩壊して子囊胞子が放出される。大部分は腐生性で,ユーロチウム属には約20種がある。子囊時代のほか,無性の分生子時代があり,不完全菌類のアスペルギルス・グラウクス群Aspergillus glaucus groupがそれに当たる。乾燥した基質によく生育するので,穀類,乾燥食品,塩蔵食品,甘味食品,革製品,レンズ面などにも生じ,劣化させる。好稠性(こうちゆうせい)菌である。これらの基質上の菌糸体上に閉子囊殻が黄色の小粒としてよく認められる。代表種はE.amstelodami Mangin,E.rubrum Konig et al.,E.chevalieri Manginなど。
執筆者:椿 啓介
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報