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子嚢菌類 しのうきんるい Ascomycetes; sac fungi

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

子嚢菌類
しのうきんるい
Ascomycetes; sac fungi

真菌類のうち大きな分類群。有性生殖行われる際に子嚢 ascusと称する器官を生じ,その中で減数分裂して,通常8個の子嚢胞子を生じるのが共通した特徴である。酵母菌のような単細胞のものから,コウジカビ,アオカビのような糸状菌をなすもの,そのほかチャワンタケ,ゴムタケ,アミガサタケのように,キノコの形をした子実体をつくるものまでいろいろの種類があるが,その種類数はおよそ1万 5000である。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉の解説

しのうきん‐るい〔シナウキン‐〕【子×嚢菌類】

真菌類の一群。体は菌糸からできていて、子嚢を形成し、中に子嚢胞子をつくる。コウジカビ酵母菌や一般にカビとよばれるものの多くが含まれる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

子嚢菌類
しのうきんるい
Ascomycota

子嚢を形成して、その中に子嚢胞子を内生する菌類の総称。少数のものは子嚢形成に先だって肉眼的大きさの子実体(キノコ)をつくるが、多くのものはカビの仲間である。[寺川博典]

生態と栄養

子嚢菌類には動物体や担子菌類のキノコを宿主とするものもあるが、多くは植物体を宿主とし、宿主の死後は腐生して生活を続ける。さらに多くのものは植物質、有機物を含む土壌などに腐生し、有機物を強力に分解還元する。このほか、菌糸組織内に単細胞性藻類を取り入れて共生する地衣子嚢菌もある。[寺川博典]

体制と生殖

子嚢菌類には単細胞体のものもあるが、多くは多核多細胞の菌糸が分岐を繰り返して伸びていく体制である。これを菌糸体とよぶ。菌糸体は基物内で成長し、やがて子嚢を形成するが、それに先だって菌糸組織をつくって子実体を形成するものが多い。子実体、および子嚢の形成は、およそ次のような過程を経る。
 まず、子嚢胞子から生じた単相菌糸体(一次菌糸体)は、和合性のある他の単相菌糸体とともに、微小な菌糸の塊をつくる。これは性的刺激による子実体形成の始まりである。菌糸塊の中では、一方の菌糸上に球状細胞(造嚢器)がつくられ、これに隣接する他方の菌糸上には小円柱状細胞(造精器)が生ずる(どちらも多核を含む)。やがて、両者の接触部にできた小孔を通って、精核が侵入していく(接合の第1段階)。精核はそれぞれ造嚢器内の雌核と対(つい)をつくり、造嚢器から生じた二次菌糸体(造嚢糸)の中に入る。一方、一次菌糸体そのものは菌糸組織をつくって子実体を形づくり、これに保護されて造嚢糸が伸びる。このとき、造嚢糸中で対になっている単相の2核は並んだままで同時に核分裂を行う(共役核分裂)。この結果、造嚢糸は核の対を多数含むことになるが、やがて先の部分に隔壁が生じて菌糸細胞となり、この中に2核だけが含まれ、これから子嚢が形成されていく。この時期になって初めて2核が癒合し、複相核が一つできる(接合の第2段階)。複相核はすぐに減数分裂とそれに続く核分裂を行って、八つの単相核となる。ついで、それぞれの核を中心にして子嚢胞子ができ、8子嚢胞子を内生した子嚢が完成する。子嚢は一般にその先端から子嚢胞子を射出する仕組みをもっている。
 以上が子嚢および子実体の形成過程であるが、子嚢菌のなかには、造嚢器と造精器をつくらずに、菌糸細胞において接合の第1段階を行うものもあれば、他のさまざまな接合法によって造嚢糸を生ずるものもある。これら接合法にはかかわりなく、子嚢菌の子実体には二つの型がある。その一つは、子嚢が球状の菌糸組織中に閉じ込められているか、または小口をもつとっくり形菌糸組織の中空の内底に子嚢を生ずる被子器(子嚢殻)であり、もう一つは、子嚢の層(子実層)を裸出している状態の裸子器(子嚢盤)である。被子器は一般に微小で、単独に形成されるか、あるいはあらかじめ決まった形に発達した菌糸組織(子座(しざ))に多数形成される。このような子座では、若いときにその表面から分生子(無性的な胞子の一種)を生ずる場合が多い。こうした分生子だけを生ずる菌糸組織もある。たとえば分生子座、分生子床、分生子柄束(へいそく)、微小フラスコ形の粉(ふん)胞子器などである。なお、分生子は栄養菌糸体からも形成される。[寺川博典]

分類

子嚢菌類は原生子嚢菌綱、小房子嚢菌綱、真正子嚢菌綱の三つに分類される。原生子嚢菌綱は菌糸組織をつくらないで子嚢を形成する。小房子嚢菌綱は簡単な菌糸組織内で接合がおこり、その周りの組織が崩壊してできた空所(小房)内に、造嚢糸によって二重壁の子嚢を形成する。小房子嚢菌綱の子実体は偽(ぎ)被子器といわれる。真正子嚢菌綱は菌糸組織が発達し、外壁のある被子器、裸子器を形成し、造嚢糸によって一重壁子嚢を形成する。真正子嚢菌綱は核菌亜綱、ラブルベニア亜綱、盤菌亜綱、塊菌亜綱に分けられる。
〔1〕原生子嚢菌綱
(1)コウボキン目 出芽か分裂を行う単細胞体で、接合によって子嚢となる。
(2)エンドミケス目 流出樹液などに腐生し、菌糸細胞などが接合して子嚢となる。
(3)ジポダスクス目 流出樹液などに腐生し、菌糸体の隣接細胞の突起が接合して子嚢になり、多数の子嚢胞子を内生する。
(4)スペルモフトラ目 被子植物、オオミジンコ、原生動物などに寄生し、単細胞体、胞子、菌糸細胞などの間で接合して子嚢となる。
(5)ハチノスカビ目 ミツバチの巣の中の幼虫や花粉に生じ、菌糸体上の造嚢器と菌糸細胞が接合して特殊な子嚢を形成する。
(6)タフリナ目 胞子の接合により生じた重相菌糸はサクラなどに寄生して奇形を生ずる。菌糸細胞が休眠胞子となり、発芽後、子嚢となる。
〔2〕小房子嚢菌綱
(1)ミリアンギウム目 アリマキや被子植物に寄生する。小房内球状子嚢は、外壁が破れ、内壁が伸びて膨らみ、裂けることによって子嚢胞子を散らす。
(2)プレオスポラ目 腐生するか、または被子植物に寄生する。小房内底の子嚢間には偽側糸がある。チクビゴケなどの固着地衣形成菌も含まれる。
(3)クロイボタケ目 腐生するか、または被子植物に寄生し、多少埋まった状態の黒い偽被子器を形成する。
(4)タテガタキン目 アオキなどの植物体上に盾形か半球形の偽被子器を形成する。
(5)裂孔菌目 木の表面に、舟形か不整形で表面に長い裂孔のある炭質の小子実体を形成する。キゴウゴケなどの地衣形成菌も含まれる。
〔3〕真正子嚢菌綱
○核菌亜綱
(1)コウジカビ目 球形の小子実体内に球状子嚢が散在し、子嚢壁が溶けると胞子を解放する。ホネタケ目もこれに似ているが、子実体に頭部と柄がある。
(2)ウドンコカビ目 被子植物上に長突起をもつ球状の小子実体を形成し、外壁が破れると子嚢壁が裂けて胞子を散らす。このほかにススビョウキン目、ミクロアスクス目がある。
(3)タマカビ目 アカパンカビは腐生し、とっくり形の被子器内に子実層がある。子嚢は長く伸びて頂端から胞子を射出する。サネゴケなどの地衣形成菌も含まれる。バッカクキン目、マメザヤタケ目は子座に多数の被子器を生ずる。
○ラブルベニア亜綱
(4)ラブルベニア目 被子器をもつ特殊な微小子実体を昆虫類の体表に生ずる。
○盤菌亜綱
(5)ファキジウム目 腐生するか、またはカエデなどに寄生する。球状や盤状の子座が裂けて、中の子実層を裸出する。
(6)ビョウタケ目 一般に植物質に腐生する。ズキンタケ、ゴムタケなどのキノコを含む。子嚢は頂孔から胞子を射出する。その他のピンタケ目にはチブサゴケなどの地衣形成菌も含まれる。ピンゴケ目、モジゴケ目、ウメノキゴケ目は地衣子嚢菌からなる。
(7)チャワンタケ目 ノボリリュウやアミガサタケなどのキノコを含む。子嚢の蓋(ふた)つき頂孔から胞子が射出される。
○塊菌亜綱
(8)セイヨウショウロ目 ツチダンゴなどの地下生塊状のキノコで、動物がこれを食して胞子を散布する。[寺川博典]

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