改訂新版 世界大百科事典 「ラクンパルシータ」の意味・わかりやすい解説
ラ・クンパルシータ
La Cumparsita
タンゴの中で最も広く知られている曲。ウルグアイのマトス・ロドリゲスGerardo Hernán Matos Rodríguez(1897ころ-1948)が学生のころに作曲したといわれ,作られた年は1914年,17年など諸説がある。初演した人はピアニストのフィルポRoberto Firpo(1884-1969)とされるが,これにも異説が唱えられている。歌詞はマトス・ロドリゲス自身のものとコントゥルシPascual Contursi,マローニEnrique Maroni合作のものとがあり,20年代半ばに,コントゥルシとマローニの歌詞で多くの歌手たちに歌われるようになった。
曲の構成は,第1部15小節,第2部16小節,第3部16小節からなり,第1部のスタッカートで大きく跳躍する主旋律がこの曲の特徴であるが,コントゥルシとマローニのこの部分の歌詞は,よりなだらかな副旋律のほうにつけられている。50年代のアメリカの流行歌《ストレンジ・センセーションStrange Sensation》はこの曲の第1部と第2部の旋律を基にして改作したものである。
執筆者:中村 とうよう
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報