日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラミュ」の意味・わかりやすい解説
ラミュ
らみゅ
Charles-Ferdinand Ramuz
(1878―1947)
フランス語で書いたスイスの小説家。ローザンヌ生まれ。1902年から14年までパリに滞在、その間に『アリーヌ』(1905)、『サミュエル・ブレの生涯』(1913)など、故郷スイスの自然と習俗を題材とした作品で注目を浴びた。第一次世界大戦で帰国し、ミスティックな叙情的作品の時期があったが、やがてリアリズムに戻り、『山中の大いなる恐怖』La Grande Peur de la montagne(1926)、『陽がまた昇らなければ』Si le soleil ne revenait pas(1937)など、多くの農民小説を書いた。そこには人間と自然との闘い、大地への愛着、固い団結心が、生硬だが風趣のある独特な筆致で描かれている。
[桜井成夫]