リアリズム(読み)りありずむ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リアリズム」の意味・わかりやすい解説

リアリズム
realism

写実主義現実主義哲学では実在論と訳される。一般的には,客観的事物をあるがままに,正確に再現しようとする態度概念として,抽象芸術古典主義ロマン主義と対立する。美術文学上,この語が用いられるようになったのは,A.コント実証主義の影響のもとに,理想主義的啓蒙思想と夢幻的ロマン主義への反動として,19世紀中葉に発達した芸術運動による。(→リアリズム〈美術〉,リアリズム〈文学〉)

リアリズム[文学]
リアリズム[ぶんがく]
realism

写実主義,現実主義。 1850年代フランスに起った,客観的観察によって現実を忠実に再現しようとした運動をいう。続いて起った自然主義と共通するところが多い。シャンフルーリ,H.ミュルジェ,L.デュランチーらに代表されるが,ゴンクール兄弟フローベール活躍が特筆される。特にフローベールの『ボバリー夫人』 (1857) は,厳密な客観性追求と美的に完成された文体によって,一流派を超越した存在となった。現代ではリアリズムはきわめて広く解釈されて,時代をこえて文学の一構成要素とも考えられている。

リアリズム[美術]
リアリズム[びじゅつ]
realism

写実主義,現実主義。 G.クールベの「レアリスム」がまずあげられる。ドーミエの政治的風刺画,農民を描いた J.ミレーの作品なども含まれるが,これはイギリスの J.コンスタブル,フランスの T.ルソー,G.ドービニーら外光派の風景画を介して印象主義へと続く。また 20世紀に入って,1930年代に社会的現実としての貧困や暴力を写実的に描く「社会的リアリズム」がドイツで提唱され,ソ連では「社会主義リアリズム」が支配的な教義となった。 (→リアリズム )  

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「リアリズム」の意味・わかりやすい解説

リアリズム
りありずむ

実在論

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