デジタル大辞泉 「大地」の意味・読み・例文・類語
だい‐ち【大地】
[補説]作品名・人工衛星は別項。→大地(作品名) →だいち(人工衛星)
[類語]地・土・土地・土壌・壌土・土砂・赤土・黒土・緑土・黄土・凍土・ローム・粘土・陶土・
だいち【大地】[書名・絵画]
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アメリカの女流作家パール・バックの長編小説。1931年刊。三部作『大地の家』The House of Earthの第一部。主人公王竜(ワンロン)は中国の貧農で、土地の豪族黄家の奴隷阿蘭(アーラン)を妻にもらい受ける。彼女は夫を助け、天災や暴動などの試練にもよく耐え、ひたすら家の繁栄に力を尽くす。妻の旧主家の土地を買い取り、やがて大地主となった王竜は、茶屋の女蓮華(リエンホウ)を家に入れ、妻妾(さいしょう)同居の生活が始まる。阿蘭は正妻としての権威を守り、妾(めかけ)の自由なふるまいを許さなかった。一方、王竜は漁色家ながら、土地や財産の管理に関しては抜け目がなかった。土地はやがて分割され3人の息子たちの所有になる。『息子たち』(1932)、『分裂せる家』(1935)とテーマは展開する。この作品には、波乱の中国史を背景に、中国事情に対する作者の深い理解がうかがえる。発刊後ベストセラーとなり、1932年ピュリッツァー賞を受けた。
[板津由基郷]
『新居格訳『大地』全4巻(新潮文庫)』
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出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…1917年宣教師で農業経済学者でもあり,《支那農業論》の著者として日本でも知られるJ.L.バック(1890‐1975)と結婚し,一時南京大学で英文学を教える。処女作《東の風,西の風》(1930)に続く《大地》(1931)はベストセラーとなり,32年ピュリッツァー賞を受ける。これは《息子たち》(1932),《分裂せる家》(1935)と三部作《大地の家》を構成し,中華民国成立(1912)当初を時代背景に,農民から身を起こして大地主となった王家の変遷を描く。…
…植民地下農村の疲弊と階級分化,農民のたたかいを描いた長編《故郷》(1933)や《人間修業》(1936),《春》(1940)のほか,中編《野火》,短編《元甫》《製紙工場村》などがあり,農村作家としての個性を表現した。途中筆を折ったが,解放後は朝鮮民主主義人民共和国の新しい農民像を映した長編《大地》(1部1948,2部1960),短編《開闢》,19世紀末葉の反日義兵闘争から1930年代初期抗日武装闘争にいたる農民のたたかう姿を描いた民族叙事詩的3部作《豆満江》(1954‐64)を出した。朝ソ親善協会委員長,最高人民会議副議長,朝鮮文学芸術総同盟委員長を歴任。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」